日本化粧品技術者会誌
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原著
顔面の真皮乳頭突起構造および真皮線維状構造の簡便計測法の開発
水越 興治平山 賢哉
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2017 年 51 巻 3 号 p. 219-229

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抄録

顔面皮膚表面に現れる老化状態の多くは皮膚内部状態の変化が原因で表出する。そのため,皮膚内部状態の分析は,エビデンスに基づいたカウンセリングにつながり顧客ベネフィットとなる。一方で,従来の皮膚内部状態の分析は高価な研究用機器の使用が一般的であり,簡便な分析が困難であった。そこでわれわれは,容易に取得できる皮膚表面の特徴量から,皮膚内部構造の特徴量を算出する推定式の作成を重回帰分析で試みた。目的変数として真皮乳頭突起構造の数と線維状構造の鮮明性に対するスコアを用いた。説明変数には皮膚画像などから算出された皮溝皮丘特性,色特性および周波数特性に関する特徴量を用いた。作成した推定式を用いて算出した推定スコアと実測値から得た実測スコアを比較した結果,真皮乳頭突起構造の数については,対応するスコア前後のスコアを含む一致率が100%となった。真皮線維状構造の鮮明性については,対応するスコア前後のスコアを含む一致率が95%となった。以上の結果より,マイクロスコープのような簡便な機器で得られる皮膚表面の特徴量から,真皮乳頭突起構造の数や真皮線維状構造の鮮明性といった皮膚の内部構造の状態が推定できることが示された。

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