2020 年 54 巻 1 号 p. 26-32
シニア層の肌光学特性に基づいた化粧品の開発を目的に,肌色の特徴および皮膚内部の散乱特性について調べた。頬下部,頬中央,目じり,顎裏の測色を行い,マンセル空間における色相,明度,彩度を求め,同一人から測定された4点を色相明度次元,彩度明度次元にプロットし,近似直線を求めた。色相明度次元における各人の近似直線の傾きに注目し,世代間で比較したところ,若年層では,傾きが緩く,色相の変化に対して明度がほとんど変化しなかったのに対し,シニア層では,傾きが急で,色相が赤みになると明度が低下していた。明度低下には,スリット光照射からの反射パターン解析により,皮膚内部の等価散乱係数の減少が関与していることが示唆された。