2020 年 54 巻 2 号 p. 138-143
セラミドは細胞間脂質の主成分であり,肌のバリア機能に重要な役割を果たしていることから,化粧品にセラミドを配合することにより高いバリア機能改善効果を付与できると考えられる。このようなセラミドの効果を十分に発揮するには,セラミドを化粧品に高配合することが求められるが,セラミドは結晶性が強く油水問わず難溶性であり,化粧品に高配合するのは困難である。水性製剤においてはセラミドにαゲルやラメラ液晶などのラメラ構造を形成させる技術等のセラミドを安定配合する技術が数多く報告されているが,油性製剤にセラミドを安定配合する技術に関する報告例はこれまでほとんどない。われわれは油中においてもセラミドに安定なラメラ構造を形成させることによって結晶析出を防ぐことができるのではないかと考え検討を行った。その結果,セラミドとともにメドウフォームエストリドを非極性油に溶解すると結晶は析出せず,ラメラ構造を持つ安定なオイルゲルが形成されることを見出した。また,このオイルゲルを油性製剤中に分散させることによって,油性製剤へのセラミドの安定配合が可能となり,油性製剤に優れたバリア機能改善効果を付与できることを見出した。