日本化粧品技術者会誌
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原著
口腔からの新しい美容アプローチの開発
遠藤 雄二郎
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2021 年 55 巻 1 号 p. 10-18

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抄録

顔の皮膚老徴には,シミ,シワ,たるみなどがあげられるが,特に加齢とともにたるみやほうれい線の悩みを抱える女性の割合は増加していく。これらの原因は真皮より深い組織の変化が関わっていることが明らかになっている。深部組織に働きかける手法はこれまでにも行われてきたが,侵襲性や利用者の簡便性の課題から日常美容として導入することが難しかった。そこで,これらの課題を解決すべく口腔内からの物理刺激に着目し,ヒトおよび細胞での効果検証を行った。振動刺激を加える器具と伸展刺激マッサージの方法を開発し,ヒトでの短期効果を確認したところ,見た目にほうれい線が薄くなることがわかった。同様の刺激方法を用いて継続効果を確認したところ,見た目および内部マトリックス密度の改善が見られた。さらに真皮線維芽細胞に対する刺激効果を確認したところ,コラーゲン産生が促進されることが示唆された。これらのことから,今回開発した物理刺激方法はほうれい線改善に有効であることが示された。本手法は既存施術方法と比較して低侵襲かつ簡便であるため,一般生活者が日常のケア方法として導入できる新しいエイジングケアの美容法になり得ると考えている。

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