日本化粧品技術者会誌
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原著
ウェアラブル皮膚振動センサを用いた肌の“きしみ感”評価
橋本 雅俊五十嵐 崇訓尾崎 慎吾舛井 喬田中 由浩
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2022 年 56 巻 1 号 p. 10-18

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抄録

肌の状態診断や製剤の処方設計・機能評価において,触感評価は不可欠である。触感とこれを生み出す物性の関連性を明確にできれば,化粧品開発の有用な知見につながることが期待できる。本研究では,指の皮膚振動を検出する“ウェアラブル皮膚振動センサ”を用い,触感の主観評価を行いながら,指に伝達した物性を同時に客観評価するアプローチを提案する。われわれは本アプローチを,洗浄した肌の“きしみ感”評価に適用し,その有用性を検証した。まず,本センサを被験者の指に装着し,自身の肌を擦ることで各被験者の皮膚振動と“きしみ感”の感覚量を取得した。次に,時間遅れ座標系を利用した時系列解析により,振動波形の特徴を定量化した。最後に,皮膚振動の定量値と“きしみ感”の関連性を検証した結果,スティックスリップ現象が“きしみ感”の主要因であることが示された。また,皮膚振動を“きしみ感”として解釈する際に多様性があることを示唆する結果も得られた。以上の結果は,提案法の特長によって実現できたものであることから,本法が化粧品分野の触感評価における有用なアプローチである可能性が示された。

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