2022 年 56 巻 1 号 p. 19-26
肌の老化現象は,しわやたるみ,色素沈着,キメの荒さなどであり,水分量の維持などの肌機能の低下により生じる皮膚の変化である。肌の老化には,加齢に伴う内因性老化(自然老化)と日光曝露を含めた環境因子から生じる外因性老化(光老化など)がある。特に,光老化は,加齢による内因性老化の上に形成され,日光の曝露時間,スキンタイプの違い,生活習慣などの影響を受ける。オリーブオイルは皮脂に含まれるオレイン酸を主成分としており,抗酸化物質も含んでいる。肌にオリーブオイルを塗布することで保湿効果や抗酸化作用が高まり,肌老化の軽減が期待されてきた。本研究では,古来より肌荒れ対策として用いられてきた紫草の根(紫根)をオリーブオイルと組み合わせることによって肌老化を軽減するための新たなオリーブオイルの開発を目指した。オリーブオイルは,紫根エキス(主な成分はシコニン類)を含有することによって紫外線吸収能や抗酸化活性,皮膚の構造タンパク質の分解酵素の阻害活性および抗糖化活性も向上した。以上より,紫根エキスを含有させたオリーブオイルは,肌老化を軽減する働きが期待できる。