2022 年 56 巻 2 号 p. 113-120
近年,UVによる色素沈着には,これまでの表皮細胞と色素細胞の相互作用に加えて真皮線維芽細胞の寄与が示唆されている。そこで,本研究ではUVB照射した表皮細胞と線維芽細胞間の相互作用の存在を成熟メラノソームの表皮細胞への移送(貪食)に注目し明らかにした。さらに,UVA照射した線維芽細胞と表皮細胞と色素細胞間の相互作用の存在を成熟メラノソームの表皮細胞への移送(貪食)とチロシナーゼ生合成に注目し明らかにした。この結果から,UVによる色素沈着は皮膚常在細胞の相互作用で引き起こされることが提案された。そこで,改善策を提案するため青森県岩木山麓にあるネックレスロードから収穫したオオヤマザクラ果実エキスの美白剤としての可能性を検証した。その結果,オオヤマザクラ果実エキスは皮膚常在細胞間の相互作用を抑制することによりUVによる色素沈着を抑制する可能性が確認され,新たなコンセプトに従った美白剤としてのオオヤマザクラ果実エキスの可能性を明らかにした。