日本化粧品技術者会誌
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原著
ポリクオタニウム-104を用いた高機能性シャンプーの開発
木内 愛海長谷川 妙塚本 大介三好 樹石神 彩夏太田 裕基一色 隆山下 美年雄
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2023 年 57 巻 4 号 p. 318-323

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抄録

ヘアカラーをしている人にとって「髪色が褪色し,長持ちしない」ことは大きな悩みの1つである。その要因はさまざまだが,中でもシャンプーによる洗髪時の色素流出の影響は大きい。これを解決するため,さまざまなヘアケア製品が開発されており,シャンプー製剤では髪色が褪色しにくい洗浄剤を使用したものなどがあるが,とくにダメージを受けた毛髪ではその効果が不十分な場合も多い。これは,繰り返しのヘアカラーやブリーチによりダメージを受けた毛髪はキューティクルがめくれ,洗髪時の色素流出の影響がより顕著であるためだと考えられる。そこでわれわれは,洗髪と同時に毛髪表面を補修することで,ダメージ毛髪においても十分に色素流出を抑制するシャンプーを開発した。カチオン性で毛髪への付着性が高く,ゴム様の柔軟性を有するシリコーン樹脂であるポリクオタニウム-104を用いることで,キューティクルの補修とそれによるヘアカラーの褪色抑制を実現した。また,このシャンプーを使用することにより,褪色抑制だけでなく,後に使用するコンディショナーの効率的な付着を示唆する結果を得た。

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