日本化粧品技術者会誌
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原著
人工知能による防腐性予測技術の検討
濱田 昌子渡邊 愛五味 満裕
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ジャーナル 認証あり

2023 年 57 巻 4 号 p. 324-333

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抄録

化粧品のライフサイクルにおいて微生物汚染を防止することは製造販売業者の責務であり,処方に適切な防腐性を付与することが必要不可欠である。処方の防腐性は保存効力試験によって評価され,試験には通常約1カ月の長期間を要することから,保存効力試験が不合格の場合に製品の開発遅延につながる可能性がある。われわれは,保存効力試験が不合格となる処方を製品開発の初期段階で検出するため,人工知能を用いて処方の防腐性の予測分析を行った。説明変数として,化粧品,医薬部外品および医薬品の処方の配合成分ならびにその濃度,目的変数として,Staphylococcus aureusS. aureus)を用いた保存効力試験の結果を使用した。配合成分のうち,防腐剤,アルカンジオール類およびエタノールの防腐助剤については,配合濃度から理論的に算出した水相濃度を説明変数とした。機械学習ソフトウェアPrediction Oneを用いて二値分類モデルを作成し,予測精度および汎化性能の検証を実施した。検討の結果,人口知能により処方の配合成分の種類ならびにその濃度から,S. aureusに対する処方の防腐性を予測できる可能性を見出すことができた。

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