日本化粧品技術者会誌
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原著
更年期の肌症状の実態調査と ヒアルロン酸フラグメントの有用性
福田 康二阪本 聡丸山 勝弘久恒 幸也濱田 和彦鍋倉 三世子片桐 一元
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2024 年 58 巻 2 号 p. 151-162

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抄録

本研究では, 更年期症状と関連性の強い肌症状を特定するために, 更年期症状の重症度 (簡略更年期指数:SMI) と肌悩みの相関性をアンケート調査した。その結果, 角質異常との関係が推測される肌症状とSMI値に相関があった。さらに, 高SMI値群と低SMI値群に分けて肌測定を行ったところ, 高SMI値群において経表皮水分蒸散量が増加し, 更年期の肌症状の一因はバリア機能の低下であることが示唆された。そこで, われわれは更年期の肌症状を改善する新たな手段として, ヒアルロン酸フラグメントに着目し, 有用性の検証を行った。培養ケラチノサイトへの作用では, 高分子のヒアルロン酸 (平均分子量180〜220万) は細胞分化促進, 低分子のヒアルロン酸 (平均分子量1万以下) は細胞増殖促進作用を有したが, ヒアルロン酸フラグメント (平均分子量5〜11万) は増殖および分化を促進した。更年期症状を呈する被験者に外用したところ, 高SMI値群では経表皮水分蒸散量の低下, 角質水分量の増加が認められ, さらにアンケート調査でも肌症状の明らかな改善が認められた。以上より, ヒアルロン酸フラグメントは更年期の肌症状の改善に有用であることが示唆された。

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