2025 年 59 巻 1 号 p. 34-42
近年,米国を中心に「クリーンビューティー」というムーブメントが広がりを見せています。クリーンビューティーとはおおむね「人体に有害な成分を含まず,持続可能で透明性のあるブランドや製品」を指しますが,明確な定義は存在せず,その解釈は企業や消費者に委ねられています。クリーンビューティーは多様な価値観の実現を目指す一方で,概念の不確かさや曖昧さをはらんでいることが現状です。本エッセイではクリーンビューティー,とくに成分の安全性を取り巻く昨今の状況を中心に整理し,私たち若手技術者にできることを考えていきます。現在,諸外国では情報の透明性を求める声が高まるとともに,成分の評価プラットフォームがリリースされ始めています。その一方で,世界共通の課題としてグリーンウォッシュや成分懸念への対策が必要となってきています。製品の安全性への取り組みや,サステナビリティと環境への配慮もクリーンビューティーを構成する重要な要素です。これらの課題を解決しながら,私たち化粧品技術者は慎重に,根拠をもってクリーンビューティーを体現していかなければなりません。