2025 年 59 巻 1 号 p. 8-15
口唇は個人の印象に大きく寄与し,日常生活,美容上において重視される部位であるが,バリア機能が低く,乾燥や皮むけといった荒れ症状が頻出する部位である。荒れの軽減にはリップクリームが使用されるが,改善効果に満足が得られない場合も見受けられる。われわれは荒れの状態の違いが,効果実感に影響していると考え,同一被験者の連日測定を行い,荒れ状態の変化を観察した。目視状態の変化に加え,先行研究によるUV光を用いた荒れの可視化手法を併用し,見た目の特徴を皮むけのある状態(A),皮むけは確認できないが,UV光で荒れと判断される状態(B),UV光でも荒れが認識できない状態(C)として3種類に分類した。その結果,被験者によって頻出する見た目特徴が異なり,さらに各状態の物性パラメータの特徴も異なった。以上より,口唇荒れはタイプ分類できる可能性が示唆された。くわえて,われわれは本研究の意義を消費者ニーズの観点から明らかにするため,日中米を対象に口唇荒れに関するオンライン調査を実施した結果,自己申告ではあるがおのおのの荒れタイプ分類に該当する被験者が存在することが示唆された。