日本化粧品技術者会誌
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原著
皮膚保存方法が薬物浸透性に及ぼす影響について
和田 実樹志賀 一博森 俊裕吉田 克典
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2025 年 59 巻 2 号 p. 81-87

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抄録

基礎化粧品や医薬品の開発において, 薬物の効果や人体への安全性を確認する目的から, ヒトや動物皮膚片を用いた浸透試験が数多く行われている。使用される皮膚は変性防止や流通の都合から冷凍保管され, 解凍後に使用されることが一般的である。凍結・解凍がヒトや動物の皮膚構造, 薬物浸透性へ及ぼす影響について数多くの先行研究が行われてきた一方で, 動物種や, 凍結温度, 期間など保存条件が研究によって異なることから, 報告毎にその結果が異なり, 現在までに凍結・解凍が皮膚に及ぼす影響にはいまだ議論の余地がある。本研究では同一人物から採取された手術直後の新鮮な顔面(まぶた)皮膚を用い, 凍結, 未凍結の違いが皮膚の薬物浸透性に及ぼす影響を明らかにした。水溶性成分カフェイン, 油溶性成分イソプロピルメチルフェノールの累積皮膚透過量は, どちらも凍結皮膚に比べ未凍結皮膚のほうが低かった。凍結・未凍結皮膚におけるエステラーゼ活性に差は認められず, 凍結・解凍処理は物理的な皮膚バリア能に影響を与える可能性が示唆された。浸透試験後の角層, 表皮, 真皮中の残留薬物濃度, 共焦点ラマン分光法を用いた角層細胞間脂質構造解析の結果についても考察する。

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