日本化粧品技術者会誌
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温度感受性粉体の開発 ポリ-N-イソプロピルアクリルアミドの粉体への応用
黒川 佐奈恵林 弘志
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1996 年 30 巻 3 号 p. 286-292

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抄録
著者らは温度感受性粉体の開発を目的とし, ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド (P-NIPAM) 表面処理タルク, N-イソプロピルアクリルアミド (NIPAM) ゲル内包多孔性シリカを調製し, P-NIPAM表面処理タルクはその分散挙動を, NIPAMゲル内包シリカはその水分保持量を測定した。P-NIPAMは皮膚表面温度付近の33℃に限界溶融温度 (LCST) を持ち, その温度以上では疎水性相互作用によって凝集する。
P-NIPAM表面処理タルクはLCST以上では水中で凝集するが, 未処理タルクは分散した。NIPAMゲル内包シリカの水分保持量はLCST以下では未処理シリカに比較して高い値を示した。これらの挙動は, タルク表面の或いはシリカ細孔内に存在するポリマーの親水性-疎水性転移に起因していると考えられる。
このような特性を示す温度感受性粉体は, 皮膚温変化によって皮膚の保湿性をコントロールする新規な化粧料の開発に応用が期待される。
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