日本化粧品技術者会誌
Online ISSN : 1884-4146
Print ISSN : 0387-5253
ISSN-L : 0387-5253
スキンケア化粧料への液晶の応用とその特性
岩井 秀隆深沢 純一福田 昌孝須貝 一郎内田 裕子鈴木 敏幸
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 30 巻 3 号 p. 310-320

詳細
抄録

天然類似の合成セラミド (SLE) の自己組織体形成能及び組織体内分子間相互作用を解析・応用することにより, 角層細胞間のラメラ構造と同じ集合構造をとった新製剤 (ラメラジェル) を開発した。
SLEの自己組織体形成能のX線回折及びDSC挙動に基づく熱力学的な解析から, SLEは準安定なラメラ液晶構造をとる結晶性物質であった。安定なラメラ液晶構造を形成している天然の細胞間脂質組成を参照して, SLEのラメラ構造安定化への機構を検討した結果, 極性部での水素結合の発現が明らかにされた。ラメラ構造安定化を維持し, 水親和性を増強させた結果, 従来の乳化製剤とは異なるラメラ液晶製剤 (ラメラジェル) を完成できた。ラメラジェルの特徴は角層への水分供給能に着目し, 従来の乳化剤型との比較から明らかにした。その結果, ラメラジェルは製剤内水分保持能と皮膚閉塞能に優れ, 角層に対し即時かつ持続的な水分供給能を有していた。これらの特徴は, 目周囲の乾燥性小じわに高い効果を果たしていた。

著者関連情報
© 日本化粧品技術者会
前の記事 次の記事
feedback
Top