日本化粧品技術者会誌
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転相温度乳化法に関する研究
道喜 角史戸谷 永生
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1997 年 32 巻 1 号 p. 17-25

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抄録

乳化剤と油性剤の組み合わせがしばしば調製されるエマルションの粒子径と安定性に影響を与える。本報告は, フェスターらによって報告されたCAPICO法を用い各種エマルションを調整し, その粒子径を島津製作所製粒度分布測定装置SALD-2000Aを用い評価した。乳化剤はアルキル鎖長がC12-22のPOE (10-20) アルキルエーテルを用い, 油性剤は炭化水素, ジアルキルエーテル, モノ-, ジ-およびトリエステルを配合した。乳化剤/油性剤/水は1:3:6の比率で混合し, 油性剤に2-エチルヘキサン酸セチルあるいはヘキサデカンを50%配合し転相温度を65-85℃になるように調整した。また, 第三成分としてグリセリン, 1, 3-ブチレングリコール, プロピレングリコール, エタノールおよびリン酸L-アスコルビルマグネシウムを選択した。
実験の結果, イソプロピルミリステートを含有したエマルションがどの構造の乳化剤を用いても100nm以下の粒子径を示した。微細なエマルションを得るためにはともに低い, あるいは高い無機性を有する油性剤と乳化剤の組み合わせが最適で, 逆に20EOの乳化剤と無機性が低い油性剤あるいは, 10EOの乳化剤と無機性が高い油性剤の組み合わせは, 得られるエマルションの粒子径が大きくなった。粒子径と保存安定性の関係についても更に検討を行った。

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