抄録
皮膚科学では病理組織学や生化学, 細胞生物学などの手技を用いたin vitroの研究が中心であり, in vivoで行われる生理学的研究は少なかった。その理由のひとつに, 生理学的検査に必要な方法が普及していなかった事があげられるが, 電子工学やコンピューターの飛躍的発展に伴って様々な機器が開発・実用化され, 皮膚の性質や状態を非侵襲的に計量し, モニターできるようになった。工学的手法を用いて皮膚をin vivoで計測する新しい分野は皮膚計測工学と呼ばれ, 皮膚科の研究や臨床へ応用されつつある。その現状や問題点について概説した。