日本化粧品技術者会誌
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剥離パターンによる角層評価 (第1報)
角層剥離パターンの数量化
松本 雅之林 照次新井 清一
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1997 年 32 巻 1 号 p. 33-42

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抄録
テープストリッピングによって剥離された角層の状態には様々なパターンが存在する。この剥離角層パターンの多様性は角層や表皮内部の状態を反映して現れると考えられる。そこで, 剥離角層パターンを定量的に評価することで皮膚性状に関する知見を得ることが可能であると考え, 今回我々は画像解析を用いて剥離角層パターンの数量化法の開発を行った。
テープストリッピングによって採取された角層の画像を透過光を用いて画像解析装置に入力し, 解析画像とした。この解析画像に対して剥離量, 厚さと剥離状態の不均一性に関する数量化を試み, 次の5つのパラメーターを設定した: 1. 剥離角層量, 2. 剥離角層厚さ, 3. 重層剥離面積不均一性, 4. 重層剥離位置不均一性, 5. 剥離量分布不均一性。算出された剥離角層パターンの各パラメーターはいずれも, 角層水分含有量, 吸収水分保持能と負の相関, 経皮水分蒸散量 (TEWL) と正の相関の傾向が見られ, 剥離角層量が増加し剥離状態が不均一になるほど角層水分含有量, 吸収水分保持能は低下し, 経皮水分蒸散量は上昇することが分かった。また, これらの剥離角層パターンの画像解析による数量化法は, 保湿剤の効果の評価に有用であった。
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