日本化粧品技術者会誌
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光音響分光法による染色した毛の色味評価
緒方 明子小牟礼 なつみ辻野 義雄樋上 照男
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1999 年 33 巻 2 号 p. 128-133

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抄録
表面および内部構造が不均一な染色毛の色味評価における反射スペクトル測定は, 試料である染色毛からの散乱光の影響のため, 高い再現性を得ることがむずかしい。光音響分光法 (photoacoustic spectroscopy, PAS) は光の吸収を音波の強弱として間接的に測定するため, 散乱光の影響を受けにくく, そのため, 染色毛のような散乱性物質のスペクトル測定に対して有効であると考えられる。本実験では染色毛の色味評価にPASを適用し, 反射分光法との比較検討を行った。その結果, 光音響スペクトル (PAスペクトル) は, 反射スペクトルにみられる散乱光の影響を受けにくく, しかも再現性の高いスペクトルであることが確かめられ, 染色毛の色味評価においてPASが有効であることがわかった。また, PASを用いた染色毛の染まりの深さ方向分析の可能性についても検討を行ったが, 光が毛の中心部と端に入射される場合とでは染色された部分の厚みが異なるため, 深さ方向分析にはさらなる工夫が必要であることがわかった。
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