日本化粧品技術者会誌
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UVA照射におけるファンデーションの評価
西村 博睦鎌田 勉武田 由有子本好 捷宏
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1999 年 33 巻 3 号 p. 297-300

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抄録

紫外線を浴びたファンデーションが皮脂成分であるスクワレンの酸化を促進する可能性があることがわかった。このことは, (1) スクワレン, (2) スクワレンとファンデーションをそれぞれ人腕に塗布し, 太陽光1時間照射後のTBA法による酸化レベルの比較結果から示唆された。そこで, ファンデーションを構成する各種粉体に対して紫外線照射時のスクワレンの酸化レベルを検討し, 要因追求を試みた。この結果, 酸化チタンがその一つであることがわかった。次に, 酸化チタンをシリカで表面被覆した粉体を開発し, スクワレンの酸化を促進しないファンデーションを試作した。この開発ファンデーションの皮膚に対する影響をヘアレスマウスの背中を利用し, 従来ファンデーションと比較した。その結果, 開発ファンデーションが従来品より表皮変化では鱗屑, 硬結, 真皮変化では炎症性の細胞浸潤が抑えられていることが確認できた。つまり, 紫外線を浴びたファンデーションが引き起こす酸化促進を抑制することにより, 肌に及ぼす影響も緩和できる可能性を見いだした。

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