日本化粧品技術者会誌
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顔形態印象の客観的評価技術の開発
井上 さくら山本 美恵子山崎 和広
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2000 年 34 巻 3 号 p. 249-254

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抄録

個性を生かした化粧をするためには, 顔の特徴を認識し, その特徴に基づいた魅力を引き出す化粧をする技術が必要となる。本研究では, 人が顔全体のパターンを見る際に重要な特徴を抽出し, その特徴を顔画像から客観的に評価する技術の開発を試みた。研究対象は20代日本人女性とした。まず顔の認識に重要な特徴を知ることを目的に実験1を行った。被験者は「似ている」という基準で112枚の顔写真を分類する課題を行った。クラスター分析で解析した結果, 顔は5分類された。その際「目の大きさ印象」「目より下の顔輪郭印象」が分類に重要な特徴であると仮定した。実験2では, 被験者は実験1と同じ顔写真を上記2印象で評定した。得られた印象評定値を目的変数, 顔形の計測値を説明変数として重回帰分析を行い, 10ヵ所の計測値によって印象評定値を推定した。さらにこの印象を2軸とした顔形態マップを作成した。顔をマップにプロットしたところ, 8割近い正解率で5分類され, 仮定した印象とマップの妥当性が確認された。このマップを使うことによって誰でも顔の特徴を客観的に知ることが可能となる。この結果は個性を生かすための化粧技術の一助となるだろう。

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