日本化粧品技術者会誌
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健常人より分離した皮膚常在菌について
石坂 要石川 敬治稲垣 誠杉浦 渉
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2001 年 35 巻 1 号 p. 34-41

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抄録

健常な男性と女性の顔の頬部と前額部の皮膚表面から常在菌を採取し, 菌数および菌の同定を行った。好気性菌数を採取部位別で比較したところ, 男性は前額部より頬部のほうが多く, 女性は頬部より前額部のほうが多く常在菌が検出された。検出された好気性菌の分離同定を行ったところ, Staphylococcus epidermidisが優占種であった。S. epidermidisの被験者からの検出状況は, 被験者48名全員から検出され, 100% の検出率であった。嫌気性菌数を採取部位別で比較したところ, 男女とも頬部より前額部のほうが多く常在菌が検出された。性別では頬部, 前額部ともに女性より男性のほうが多く検出された。検出された嫌気性菌の分離同定を行ったところ, Propionibacterium acnesが優占種であった。P. acnesの被験者からの検出状況は, 被験者48名全員から検出され, 100%の検出率であった。好気性菌であるStaphylococcus capitisの検出状況は, 女性では29名中わずか1名からしか検出されなかったのに対し, 男性は19名中17名からS. capitisが検出され, 性別で菌叢に違いが認められた。好気性菌の優占種であるS. epidermidisに注目し, S. epidermidisがもつ酵素活性は, 被験者ごとに酵素活性が異なっており, また同一被験者からも酵素活性が異なるS. epidermidisが検出された。その中でアセトイン産生能をもつS. epidermidisが検出された被験者の割合は, 被験者の加齢とともに減少傾向を示した。またウレアーゼ活性能をもつS. epidermidisが検出された被験者の割合は, 被験者の加齢とともに増加傾向を示すことが明らかとなった。

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