日本化粧品技術者会誌
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肌評価における注視部位の解析
小林 紀子臼井 俊博新井 清一福田 忠彦
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2002 年 36 巻 1 号 p. 36-44

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抄録

人は種々の肌状態を評価する際に, 顔のどの部分をどのように見て判断しているのであろう。本研究の目的は, スキンケアで重視しなければならない部位や, 美しい肌を演出するために重視すべき部位を明らかにすることである。測定方法は, 「キメの粗さ」「つや」「なめらかさ」「肌の美しさ」など14項目についてモデルの肌を評価し, その際の眼球運動データを測定した。その結果, 頬や鼻は多くの評価項目において注視されることがわかった。「毛穴の目立ち」の評価では鼻の頭や小鼻のあたりに注視がみられ, 主観申告による判断部位と一致していた。また, 「つや」の評価では, 鼻の頭や頬のふくらんだ部分に注視の集中がみられた。このように, 評価する肌項目によって注視される部位が異なっていることが本研究より明らかとなった。さらに, 「肌の美しさ」の評価では, 頬上部から鼻周辺, 口周辺, 頬下部の範囲に注視が分布した。本研究により, 肌を評価する際の眼球運動が定量的に示された。このことは, スキンケアや美容に関するカウンセリングに役立つ情報が得られるだけでなく, 新しい皮膚計測法の開発において, 測定すべき部位を決めるためにも役立つと考えられる。

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