日本化粧品技術者会誌
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老化した肌の光学研究と, 若々しい外観を再現するメーク料の開発
坂崎 ゆかり西方 和博中村 直生
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2002 年 36 巻 1 号 p. 25-35

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抄録

市販のメーク料は若い肌に使われたとき, その美しさを高めることができる。しかし同じメーク料が高齢者の肌に使われたときは, しばしば人工的で不自然な仕上りとなる。この現象の原因を知るために, われわれは肌の光学特性を調査した。その結果, メーク料の仕上りと肌表面の皮溝皮丘の状態との間に強い相関性があることを見出した。肌表面における水平方向への拡散が仕上りを左右するキー要因であり, この拡散が皮溝皮丘の状態に大きく影響されることを明らかにした。さらに調査を進めた結果, われわれは「水平方向への拡散指数 (LDI)」と名付けた重要な光学パラメータを提案するに至った。皮溝皮丘が明瞭で均一な若い肌は, 皮溝皮丘が平滑化した不均一な老化肌よりもLDI値が高いことがわかった。われわれは次にこの知見の応用を試みた。特別設計の繊維状粉体の拡散特性を利用し, 老化した肌のLDI値を高めるメーク料を試作した。この新しいメーク料は従来のものに比べ, 高齢者の肌をより自然にいきいきと仕上げられることをわれわれは確認した。

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