抄録
眼窩部皮膚は, 色調的あるいは形状的に頬部や前額部の皮膚に比べ特異な性状を示し, その変化は, いわゆる「くま」として認知されている。われわれは以前, 眼窩部皮膚の色調的あるいは形状的多様性を理解する目的で健常女性180名の眼窩部皮膚の観察を行い, 茶色, 赤, 青の色味特徴ならびに, さまざまな形状的特徴を見出した。さらにそれらの程度に即した写真基準を作成してスコア化し, 年齢相関などの実態解析を行った結果を第48回SCCJ研究討論会において報告した。今回, メラニンや局所血流動態と色味との関係を明らかにすることを目的として, 健常女性60名を対象とした非侵襲分光学的手法による皮膚性状解析および写真基準を用いてのスコア評価を行った。その結果, 茶色味スコアはメラニンインデックスと高い正の相関性が認められた。このことより, 眼窩部皮膚の茶色味はメラニンに起因していると推察された。赤味スコアは, Hb値との有意な正の相関性が認められ, また, 血流速度との有意な負の相関性が認められた。このことより, 眼窩部皮膚の赤味はHb量が増加し血流の滞った状態に起因した色味であることが示唆された。青味スコアは酸素飽和度および血流量との有意な負の相関性が認められた。このことより, 眼窩部皮膚の青味は血流がうっ滞し, 皮膚循環機能が低下した状態を反映した色味であることが示唆された。これらの結果より, 眼窩部の局所的血流動態やメラニン量の変動が眼窩部皮膚の色味の変化に重要な役割を担っていることが示された。