日本化粧品技術者会誌
Online ISSN : 1884-4146
Print ISSN : 0387-5253
ISSN-L : 0387-5253
肌からの反射光を制御するメーク料の開発 (第1報)
赤い光の視覚効果を利用したファンデーション
坂崎 ゆかり鈴木 優加西方 和博毛利 邦彦
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 40 巻 4 号 p. 278-286

詳細
抄録
照明によって肌の見え方は大きく変化する。肌をより魅力的に見せるために, しばしば赤みを多く含む照明が用いられることに注目し, 長波長光が肌の見え方に与える影響を評価した。任意の波長光を任意の割合で混合して照射できる照明機を開発し, さまざまな光を肌に当てて視覚評価を行った。結果, 600nm以上の長波長光を多く含む光で照らされた肌は, しみやしわのような欠点が目立ちにくくなり, 均一に見えることが確認できた。また, 肌からの反射光と, 肌の見え方の関係を調査した結果, 長波長光の反射率が10%程度上昇すると, 肌の均一感が向上して見えることが確認できた。そこで, こうした「赤い光の視覚効果」を化粧料に取り込む方法を検討した。赤みを多く含む照明で照らされたときと同じような反射光を生じさせる粉体素材の開発に取り組み, 結果, 井形断面を有する赤色ファイバー粉体の開発に至った。特殊な断面を有するこの粉体には, 明度や彩度を下げることなく, 長波長光の反射率を高める効果があった。この粉体を配合したファンデーションを塗布した肌は, 均一感が向上し, 従来ファンデーションと比較して, より魅力的に見えることを確認した。
著者関連情報
© 日本化粧品技術者会
前の記事 次の記事
feedback
Top