日本化粧品技術者会誌
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40 巻, 4 号
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  • 貝瀬 千尋, 金子 晃久
    2006 年40 巻4 号 p. 269-277
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    近年, レシチン等の脂質を用いたリポソームやナノサイズレベルのカプセル化技術等を応用し, 肌への親和性に優れた皮膚化粧料が検討されている。その脂質の一種であるスフィンゴシンを構成成分とするスフィンゴリピッドは, その特性ならびに応用といった観点から検討され始めてきた新しい生体脂質の一つである。中でも, スプィンゴミエリンは, スフィンゴリン脂質の代表的なものとして多岐に知られている成分である。本研究では, このスフィンゴミエリンを化粧品原料として用いることを試み, 特に皮膚化粧料への配合を踏まえたスフィンゴミエリンからなるリボソーム製剤への応用につき, 検討を行った。その結果, 代表的なグリセロリン脂質の一つであるレシチンに比ベバリヤー能が高く, またリポソームの二分子膜構造が強固であることから, スキンケア製剤へ応用した場合には, 角層細胞間脂質構造の補完が期待され, 肌の保湿・エモリエント効果を促し, シワの改善効果をもたらすことが認められた。
  • 赤い光の視覚効果を利用したファンデーション
    坂崎 ゆかり, 鈴木 優加, 西方 和博, 毛利 邦彦
    2006 年40 巻4 号 p. 278-286
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    照明によって肌の見え方は大きく変化する。肌をより魅力的に見せるために, しばしば赤みを多く含む照明が用いられることに注目し, 長波長光が肌の見え方に与える影響を評価した。任意の波長光を任意の割合で混合して照射できる照明機を開発し, さまざまな光を肌に当てて視覚評価を行った。結果, 600nm以上の長波長光を多く含む光で照らされた肌は, しみやしわのような欠点が目立ちにくくなり, 均一に見えることが確認できた。また, 肌からの反射光と, 肌の見え方の関係を調査した結果, 長波長光の反射率が10%程度上昇すると, 肌の均一感が向上して見えることが確認できた。そこで, こうした「赤い光の視覚効果」を化粧料に取り込む方法を検討した。赤みを多く含む照明で照らされたときと同じような反射光を生じさせる粉体素材の開発に取り組み, 結果, 井形断面を有する赤色ファイバー粉体の開発に至った。特殊な断面を有するこの粉体には, 明度や彩度を下げることなく, 長波長光の反射率を高める効果があった。この粉体を配合したファンデーションを塗布した肌は, 均一感が向上し, 従来ファンデーションと比較して, より魅力的に見えることを確認した。
  • スペクトルの凹みを作り出すファンデーション
    坂崎 ゆかり, 鈴木 優加, 西方 和博, 毛利 邦彦
    2006 年40 巻4 号 p. 287-294
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    肌の分光反射率曲線では, 500-600nmの領域にスペクトルの凹みが観察される。これは血液の光吸収によって生じるものであり, 人によって大きさが異なることが知られている。肌の分光反射率の測定結果から, 凹み面積とL値との間に, 相関性があることが見出された。その関係式から求められる「標準的な凹み面積 (ADs)」と, 分光反射率曲線から求められる「実際の凹み面積 (ADa)」との比 (ADa/ADs) は, 肌色印象のパラメーターとして用いることができる。人工的な光環境下で, ADa/ADsを10-200%まで変化させた肌を作り出し, 印象評価を行った結果, ADa/ADsが100-125%のとき, 肌は自然に美しく見えることが確認できた。次に, この結果をメーク料の開発に応用することを試みた。種々の検討の結果, マゼンタ色に染色した井形断面を有するファイバー粉体の開発に至った。この粉体を配合したファンデーションは, 短波長光と長波長光の反射率を同時に高めることによって, スペクトルに凹みを作り出すことができる。血色の悪いモデルにこの試作品を塗布したとき, ADa/ADsは49%から107%に上昇し, 見た目の印象も向上した。
  • 竹林 のぞみ, 池田 美和
    2006 年40 巻4 号 p. 295-299
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    最近の研究により, 皮膚基底膜領域に存在するアンカーリングフィブリルの形成を強化することがシワ等の皮膚の老化防止につながると考えられるようになってきた。アンカーリングフィブリルの主構成成分はVII型コラーゲンであり, VII型コラーゲン遺伝子の発現によりアンカーリングフィブリルの形成が誘導されることが明らかとなっている。そこでわれわれは, VII型コラーゲン遺伝子プロモーターの下流領域にルシフェラーゼ遺伝子を連結させたプラスミドを作製し, 培養皮膚細胞に一過性に導入して, VII型コラーゲン遺伝子プロモーターの転写活性を測定した。フラボノイド存在下でプロモーター活性を測定した結果, Genkwaninにプロモーターの転写レベルを向上させる効果を見出した。
  • 内田 咲子, 林 奈津子, 後藤 信行, 大海 須恵子, 小柳 綾子, 吉岡 正人
    2006 年40 巻4 号 p. 300-306
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    毛髪処理剤として幅広く利用されている加水分解タンパクとシリコーンは, ヘアケア剤として重要な役割を果たしている。そこで, われわれは, 加水分解タンパク部, シリコーン部およびアルキル部からなる新しいハイブリッドポリマーをヘアケア剤として開発し, その有用性について検討した。その結果, 今回開発した新規ハイブリッドポリマーは, ヘアカラー処理毛髪の褪色防止効果があり, 保湿性に優れていた。さらに, 艶, まとまり, しっとり感, なめらかさ, 指通りなどの毛髪の感触を向上させる効果に優れていた。また, このハイブリッドポリマーは, 特に損傷毛髪への吸着力が強いため, 損傷毛髪に対してより顕著な効果を示すことが確認できた。さらに, ハイブリッドポリマーはシャンプーへの少量配合でも上述のような効果が確認された。
  • 2006 年40 巻4 号 p. 308-316
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
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