抄録
近年の非協力ゲーム理論の研究の流れの1つに進化的アプローチを用いた計算機上のシミュレーションが挙げられる.特に繰り返し対称ゲームについては,現在も様々なモデルが提案されている.しかし,現実社会に存在するゲーム的状況はいつも対称ゲームであるとは限らない.
本研究では,現実社会における警察とドライバーの関係をゲーム的状況としてとらえ,これを2次元トーラス上に配置された自律的に戦略を決定する行動主体が,それぞれの近傍の異種の行動主体と対戦を行う繰り返し非対称ゲームにモデル化する.対戦においては,繰り返し対称ゲームでよく用いられる,Lindgrenモデルの行動決定方法を基に,行動主体は行動を決定する.そして,このモデルにおいて,行動主体がどのような行動戦略を採るか,また,モデルにおける各パラメータが主体の行動にどのような影響を与えるかについて解析する.