抄録
本研究では、毛筆古文書において、真筆とされている文献と、透し写しという技法で書かれたとされる模本といわれる文献に書かれている文字の特徴を、文字のかすれ具合に注目し画像処理を行うことによって抽出、比較し、真筆か透模本かまだ明らかではない文献を判別することが目的である。
真草千字文の文字と透模本および真筆であることがそれぞれ明らかな喪乱帖の文字と陳微明題字の文字の、はね・はらいの部分の境界線画像のかすれ具合を数値的に表すために境界線画像の複雑さをチェーンコードを用いることにより定義し、数値化した。T検定を用いて3種類の文献の文字の特徴を比較した結果、真草千字文の文字には陳微名題字の文字と共通する特徴が多い事がわかった。このことから真草千字文は透模本ではなく、真筆もしくは臨模本ではないかと考えられる。