抄録
ワイヤレス・センサネットワークにおいて,センサの位置が与えられた時に,ある端末から全端末に向けた通信における必要電力を最小とする問題はMinimum-energy Broadcast Problem(MBP)と呼ばれており,NP困難な問題である.この問題の解法として蟻の採餌活動を模したAnt Colony Optimization(ACO)の一つであるAnt Colony System(ACS)が有効であることが示されている.ACSは最もコストが低い解のみを保持し探索に利用する.これは解の水準を下げないという点においては有効であるが,局所解に陥る可能性がある.そこで本研究では,複数の解を保持するACOであるFIFO-queue ACOをMBPに適用し,シミュレーションにおいて性能評価を行った.