抄録
近年,リアルタイムシステムにおいて過負荷状態を避けるために,各タスクに割り当てるリソースを動的に変化させるQoS適応制御が研究されている.筆者らはCPU利用率を希望の値に保ちながら,QoSの公平性を達成するようなリソース配分を行う問題について,フィードバック制御を用いたリソース配分制御を提案した.本論文ではこの手法を拡張し,リソースが複数あるシステムに対してQoSの公平性を達成するリソース配分制御を提案する.リソースが複数ある場合はQoS要求に対する各リソースの要求量がリソース消費関数で決まっており,実際に実行に使われるリソース量が配分された量より小さくなる場合があるが,本手法によりこのようなリソース量をなくし,かつ最大の公平なQoSレベルを達成できる.シミュレーション実験により,リソース消費関数が線形であるようなタスク集合に対して,提案手法が有効であることを確認する.