中日教育論壇
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『中日教育論壇』特集号 2025
若手教師の教育者精神に関する認識と実践モデル
グラウンデッド・セオリーに基づく探究
郭 媛麗姜 羽飛陳 傑修
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2025 年 2025 巻 p. 11-26

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Abstract

教育者精神は新時代における教師育成の核心的要素であり、若手教師は教育事業の主力として、その教育者精神に対する認識と実践が教育の質に直接的な影響を及ぼす。しかしながら、既存の研究は主に一般的な側面に焦点を当てており、若手教師という集団に対する実証的分析が不足しているため、認識と実践の間に乖離が生じている。本研究ではグラウンデッド・セオリーに基づき、50名の若手教師に対して深層インタビューを実施し、三段階のコーディングを通じて認識と実践のモデルを構築した。その結果、若手教師は教育者精神を「職業的初心」「学生中心」「自己への要求」という三つの核心概念にまとめていることが明らかになった。一方で、実践の中では「教育者精神が遠い存在である」という認識、量的評価制度との矛盾、育成制度の不十分さといった課題に直面している。しかし、日常への融合、ナラティブの継承、没入体験、肯定的報酬、「伝・幇・帯」(ベテラン教師による伝承・支援・指導の制度)、自己内省などの多様な手段を通じて、若手教師の内面に教育者精神を根づかせることは可能である。本研究は、教師評価制度の最適化や教師の道徳・倫理意識の強化に向けた理論的根拠と実践的方策を提供し、新時代における教師の質的発展に資する重要な意義を有していると考えられる。

1.研究背景

新時代における教育改革と発展の過程において、教育者精神は教育分野の核心的テーマであり、教育の基盤である。2023年、習近平総書記は「理想と信念」「道徳と情操」「育成の知恵」「献身的精神」「仁愛の心」、そして「教えに対する追求」という六つの側面から、中国特有の教育者精神の核心を論じ、新時代における教師育成の理論的方向性を明示し、その戦略的意義を強調した。また、国務院は『教育強国建設計画要綱(2024–2035年)』(新華社、2025)を発表し、教育者精神によって教師の魂を鍛え、資質を高め、教育強国戦略の高みに引き上げるとともに、教師陣の建設における先導的役割を強調した。教育者精神は、中国教育の伝統および教育理念に対する現代的解釈であり、教師育成の法則に関する新たな認識を示す時代的象徴である(羅生全、2023)。

数多くの学者が教育者精神に関する研究を展開しており、豊富な成果を挙げている。文化継承の観点からは、教育者精神は中国の師道文化を受け継ぎ、千年にわたる教育の知恵を継承している(庞立生・李鉄铮、2023)。また、勤学笃行(まじめな学びと実践)や求是創新(真理探究と革新)といった実践的姿勢は、教師による教育現場での探究を促進し、教育理論の革新を可能にする(潘玉腾、2023)。さらに、教育者精神は教師の総合的素養の向上にも寄与する(張華中・劉玉勇、2025)。加えて、教師の職業的アイデンティティの確立や教育の質的向上においても、教育者精神は極めて重要な価値を有している(羅生全、2023)。こうした研究は、多角的な視点から教育者精神の理論的内容を豊かにしている。

若手教師は教育事業の未来を担う主力であり、価値観や教育理念の形成・発展の途上にあるため、教育者精神を受け継ぎ、さらに発展させる核心的存在と位置づけられている(王禹・張華中、2025)。しかし現実には、若手教師はクラス管理の困難や生徒の個性差への対応といった教育上の課題(王麗丹ほか、2025)、市場経済や社会的思潮、ネット言論などの負の影響による理想信念の希薄化(丁宇ほか、2025)、さらには教師としての倫理意識の不足や、成績・進学実績を重視するあまり品格教育を軽視する傾向(沈勝林・尤艶紅、2024)といった問題に直面している。これらの現状を踏まえ、既存研究では教育者精神の深化を通じた若手教師の質的向上(張鑫・王詩奕、2025)や、教師としての倫理意識を構築するための多面的アプローチ(王洋、2025)が提言されている。しかし、若手教師の成長という重要な時期における教育者精神の実態や育成経路に焦点を当てた研究は依然として不足している。

本研究は、教育学・心理学・社会学などの学際的理論を統合し、多次元的な枠組みを構築することで、この研究上の空白を補完することを目的とする。そして、若手教師が教育者精神を備えた優れた教師へと迅速に成長できるよう科学的な指針を提供し、新時代における教育事業の高品質な発展を後押しするものである。

2.研究アプローチ

2.1 研究方法とプロセス

質的研究は、社会現象を深く理解し、状況に対する感受性を備える点に優れており、探索的研究の有効な手段として広く認識されている。インタビュー・観察・テキスト分析などを通じて、複雑な社会的過程や行動の動因を捉え、豊かな解釈的データを生成することができる(Denzin・Lincoln、2011)。さらに、問題の枠組みを描き出し、潜在変数を特定することで、後の量的研究における仮説構築にも寄与する(Patton、2002)。本研究は、教育者精神という新たな概念・現象に対する体系的理解を目的とし、開放的な問いかけとテーマ分析を通じて質的研究を展開した。

本研究では、データ分析と理論構築の段階において、グラウンデッド・セオリーを理論的指針として採用した。グラウンデッド・セオリーは、Glaser・Strauss(1967)によって初めて提唱された理論生成手法であり、データからボトムアップ方式で概念を抽出し、理論的枠組みを構築することを目的とする(Glaser・Strauss、1967)。従来の仮説検証型研究とは異なり、グラウンデッド・セオリーは「継続的比較法」や「理論的サンプリング」といった手法を通じて、データ収集と分析を反復する過程の中で、徐々に核心的カテゴリーを抽象化していく(Strauss・Corbin、1998)。本研究は、若手教師における教育者精神の探究という探索的目的に合致しており、グラウンデッド・セオリーによる分析とモデル構築を通じて、原始データから実証的に理論を導出することを可能にする。

また、グラウンデッド・セオリーは定型的な手順を備える一方で、研究の進行状況に応じた柔軟な調整を許容するダイナミックなアプローチである。本研究のプロセスは、①研究課題の明確化、②データ収集、③データ分析、④モデル構築、⑤理論的解釈の五段階に整理される。

図1グラウンデッド・セオリーに基づく研究プロセスの全体像

第一段階:研究課題の明確化

研究において、特にグラウンデッド・セオリーを用いる場合、研究課題の焦点設定は極めて重要である。筆者は教育者精神への関心を出発点とし、若手教師の実践や現象の観察、関連文献の整理・比較を通じて、研究課題を次の三点に明確化した。

(1)認知の側面:若手教師が教育者精神の内実や典型的行動をどのように理解しているか。

(2)現状の側面:教育者精神を理解し、実践するうえで直面する実際の状況や困難、課題は何か。

(3)プロセスの側面:教育者精神をどのように生成・養成し、強化できるのか、そのプロセスを明らかにする。

第二段階:データ収集

上記の課題を明確化したうえで、深層インタビューを実施し、対象に関する幅広い文脈的データを収集した。

第三段階:データ分析

データ分析、即ちデータに対するコーディング分析を行う(Holton、2007)。本研究では主に「手続き的グラウンデッド・セオリー」に依拠したコーディング分析を行う。

第四段階:モデル構築

Hernandez(2009)の理論的コーディングを参照し、理論の初期構築と精緻化の二段階に分けて分析を行った。

第五段階:理論的解釈

構築したモデルを、若手教師の教育者精神に関する認識、現状、生成経路という三つの側面から解釈・説明した。

2.2 データ収集および整理

本研究では、半構造化インタビューを用い、若手教師を対象とした一対一の深層インタビューを実施した。対象者は一定の勤務年数を有する若手教師とし、インタビュー内容の信頼性と妥当性を確保するため、正式調査に先立って予備インタビューを行った。2024年7月から8月にかけて、計50名の若手教師が正式に参加した。その内訳は男性27名、女性23名であり、年齢は30〜40歳に集中していた。出身校や専門分野は多様で、初等・中等・高等教育の各段階を網羅している。調査は対面インタビューに加え、電話やWeChatなどのオンラインツールも併用し、平均所要時間は約35分であった。参加者の同意を得たうえで録音し、全てを逐語化して整理した。

教育分野における「若手教師」の年齢定義は、一般的にキャリアの発達段階や政策上の統計基準に基づいている。中国国内の政策や研究では、通常「40歳未満」が若手教師の基準とされており、たとえば吉林省教育庁の統計でも「40歳以下」と明確に規定されている(張鑫・王詩奕、2025)。本研究では、30〜40歳の教師を調査対象とした。その理由は以下の二点である。

(1)政策との整合性:政府統計における「40歳未満」という基準に合致する。

(2)職業的特性:この年齢層は新人から成熟期への移行段階にあり、教育理念や職業的アイデンティティが形成される柔軟性を備える。教育者精神の育成において、最も重要な時期とされる。

(3)学術的共通認識:国内の若手教師研究においても「40歳未満」が標準的な定義として用いられており、本研究のサンプル特性とも一致している。

以上を踏まえ、本研究のインタビューは、認識・現状・生成経路という三つの核心課題に焦点を当てて実施した。

(1)認識:教育者精神の内実や典型的な行動について、若手教師がどのように理解しているかを探った。具体的には、「教育者精神とは何か」「それが教育現場でどのように表れるか」といった問いを投げかけた。

(2)現状:教育実践の現場において、教育者精神がどのように実践されているのか、またそこにどのような困難や障害が存在するのかを明らかにした。

(3)生成経路:教育者精神をどのように養成・向上させ得るのかについて、若手教師自身が有効と考える手段や経験を探った。

本研究では、グラウンデッド・セオリーの原則に忠実に従い、データ収集と分析を交互に反復しながら進めた。各インタビュー終了後には直ちに逐語化を行い、テキストを整理・コーディングした。その後、データ間およびコード間の継続的比較を実施し、新たな概念・カテゴリー・関係性が出現しなくなるまで分析を継続した。

3.若手教師の教育者精神の認識と実践モデル構築

3.1 三段階コーディング過程および理論的飽和の検証

3.1.1 オープン・コーディング(Open Coding)

筆者は Maxqda ソフトを用いて原始データを概念化・カテゴリー化した。オープン・コーディングは、①ラベル付け(コード化)、②現象の要約、③概念の生成、④カテゴリーへの抽出という四段階のプロセスに従って実施した。これらを反復的かつ継続的に比較・抽象化することで、最終的に30の概念と12のカテゴリーを抽出した(詳細は表1を参照)。

3.1.2 アキシャル・コーディング(Axial Coding)

研究の目的および対象の特性に基づき、オープン・コーディングで得られた12のカテゴリーを再分類・統合した。その結果、C1(若手教師の教育者精神の認知理解)、C2(若手教師の教育者精神の現状)、C3(若手教師の教育者精神の生成経路)の三つの主カテゴリー(Core Categories)を抽出した。

3.1.3 セレクティブ・コーディング(Selective Coding)

三つの主カテゴリー間の比較・分析を通じて、それらはいずれも「若手教師の教育者精神」という中心的テーマを軸にしていることが明らかとなった。したがって、「若手教師の教育者精神」を中心的カテゴリー(Core Category)として設定した。本研究における過程は以下の通りである。

(1)認知カテゴリー(C1):若手教師が教育者精神をどのように捉えているのか、その内実や理解を含む。

(2)現状カテゴリー(C2):教育者精神の実践において、若手教師が直面する困難や障壁を含む。

(3)生成経路カテゴリー(C3):教育者精神をいかに育み、内在化していくか、その方法論を含む。

これら三つのプロセスを軸として、若手教師の教育者精神に関する認識と実践の構造的基盤が形成された。

3.1.4 理論的飽和の検証

データ収集を終了するか否かの判断基準として、理論的飽和(Theoretical Saturation)の有無を検証した。そのため、新たなサンプルデータに対して同様のコーディングを実施したが、新たな重要概念は出現せず、既存のカテゴリー間に新たな関係構造も確認されなかった。この結果から、「理論構造は必要な水準に到達しており、理論的に完成されたものと判断した。

3.2 文献比較に基づく認識と実践モデルの構築

グラウンデッド・セオリーの原則に基づき、構築した初期理論を既存の文献や理論(従来の教育者精神に関する研究成果、若手教師の教育観・実践行動に関する既存理論)と比較しつつ、修正・補完・強化を行った。その結果、若手教師の教育者精神に関する認識と実践モデルが最終的に完成した。

4.モデルの解釈と研究結果

本モデルにより、教育者精神の「認識→現状→生成経路」という論理的道筋に沿って、認識と実践の各側面を解釈・分析した。その目的は、若手教師の教育者精神を包括的に探究し、今後の実証研究に資する理論的基盤を築くことにあった。

4.1 若手教師における教育者精神の認識

グラウンデッド・セオリー分析およびモデルの結果によれば、若手教師の教育者精神に対する認識は、B1職業としての初心、B2学生本位、B3自己への要求という三つのカテゴリーから構成される。具体的内容は以下の通りである。

B1 職業としての初心

若手教師は、教育者精神には教育事業への情熱、職業的アイデンティティ、尊重、使命感が含まれるべきであると広く認識している。これはマズローの欲求階層説における自己実現欲求や達成動機理論と整合する。教育者は教育を生涯の事業と捉え、その実践を通じて自己実現の心理的欲求を満たす。この職業選択の動機や純粋な情熱、社会的承認は外部の影響を受けにくく、教師が長期的に職務を堅持し、困難を克服し、継続的に教育的使命を実現することを可能にする。

B2 学生本位

学生は教育的営みの直接的な対象である。回答者の85%以上が、表現は異なるものの、教育者精神は学生本位であるべきだと述べ、学生への思いやり、個性に応じた教育、奉仕の重要性に言及した。真の教育者ほど学生の個性を尊重する。教師は学業面のみならず、生活面での配慮、日常的な支援、学習や交流のためのプラットフォームの提供を通じて、学生の学習環境を整え、潜在能力を引き出し、その主体性を喚起する。これにより、学生の総合的素養の涵養と多元的な成長を促進することに専念している。

B3 自己への要求

教師は教育活動の主体である。若手教師は、自らに対して専門性や品性・道徳の涵養を常に厳しく求め、生涯学習を継続することで環境変化に適応し、自己を高めるべきだと認識している。また、学生に対しては、言葉による指導にとどまらず、自ら模範となる行動を示すことが重要であると考えている。社会学習理論が指摘するように、学習はしばしば他者の観察や模倣を通じて行われるため、教育者の言動は学生にとって模倣可能な正の範例を提供することになる。

4.2 若手教師における教育者精神の現状

グラウンデッド・セオリー分析およびモデルの結果によれば、若手教師の教育者精神をめぐる現状は、B4 認識レベル、B5 制度上の矛盾、B6 認識上の誤りという三つのカテゴリーに包括される。具体的内容は以下の通りである。

B4 認識レベル

多くの回答者は「教育者と自分とは遠い存在である」(P26)、「自分には教育者と呼べる基準にはおそらく到達できない」(P15)と認識しており、これは若手教師の教育者精神に対する認識レベルの現状を如実に示している。教育者のイメージは理想化され神聖化されやすく、若手教師はそのようなステレオタイプの影響を受け、教育者を遠く及びがたい存在と見なす傾向にある。その結果、教育者も普通の教師から成長してきた存在であることを意識せず、自身が崇高な教育者となる可能性や潜在力を看過している。このようなステレオタイプは、若手教師と教育者精神との心理的距離を拡大させ、自らが教育者精神を備えていることへの認識と実践を阻害している。

B5 制度上の矛盾

現行の教育評価制度は教育者精神と一定の衝突をきたしている。教師の主な目標は、しばしば職階評定や学生の試験成績といった測定可能な成果の追求に置かれがちである。そのため、教育者精神が強調する学生の全面的発展の育成といった定量化が困難な目標は看過されやすい。ある回答者は「中学・高校になると学習のプレッシャーは大きい。教師も生徒と建前ではなく本音で話し合いたいと思うが、点数が伸びなければ説明責任が果たせない。ゆえに困難がある」(P40)と述べている。目標設定理論が示すように、個人の行動はその目標によって方向づけられるため、若手教師はより多くの精力と時間を、学生の成績を直接向上させ得る教育活動に投入せざるを得ない状況に置かれている。

B6 認識上の誤り

一部の回答者は「教育者精神は育成が難しく、個人の悟りや自己変革に依存し、あるいは運まかせの部分さえある」(P42)と述べている。内面的学習(内隠学習)とは、個人が無意識のうちに環境中の多様な情報を観察・体験し、漸次的に知識や技能を獲得する過程を指す。教育者精神の養成は無意識性と自動性を有するため、若手教師はこの気づきの過程を意識的にコントロールできないと感じ、その結果「自身の悟りに依拠する」という認識を抱くに至っている。

4.3 若手教師における教育者精神の内在化の道筋

B7 日常への融合

インタビューの結果、一部の若手教師は、教育者精神を抽象的な理念ではなく具体的な教育行動に具現化し得るものとして捉えていた。すなわち、細部や日常的な行為が職務と緊密に結びつき、教育活動のあらゆる局面に教育者精神が貫徹していると認識している。これは教育者精神と教育実践の深い融合の可能性を示すものである。教育実践は教育者精神を体現するうえで重要な媒介であり、若手教師は実践と省察を通じて教育の本質理解を絶えず深化させ、教師と学生の共同成長を実現することができる。さらに、この過程は若手教師の職業的燃え尽き(バーンアウト)の克服にも寄与する。

B8 ナラティブ・継承

ナラティブ理論(物語論)によれば、ストーリーは個人が意味を構築し、アイデンティティの形成、情感的共鳴を喚起することを助ける。著名な教育者の事例や言葉をナラティブ要素として活用することで、文化的な宣伝活動や研修などの形式を通じ、具体的なストーリーや人物像を提示できる。これにより、教師は明確な行動の手本と情緒的な気づきを得ることができ、教育の意義と初心を再認識し、教育への情熱を喚起するとともに、教育者精神を深く理解することが可能となる。

B9 没入体験

フロー理論と身体化認知理論(Embodied Cognition)は、授業コンテストや実践活動など、適度な挑戦性を備えた没入型の課題に取り組むことによって、教師を高度な集中状態へ導き、成長を促すとともに、教育活動への理解を深化させ得ることを示している。身体化認知理論は、認知が脳内のみで生じるのではなく、身体と状況との相互作用的な体験に深く依存していると考える。そのため、状況は教師の認知や情意の内面化にとって極めて重要な要素となる。

B10 肯定的報酬

自己効力感理論と脳の報酬メカニズムが示すように、若手教師の教育者精神に合致する行動が肯定的なフィードバック、評価、承認、奨励を受けたとき、教師の自己効力感は高まり、ドーパミン分泌が促進される。その結果、ポジティブな心理状態が形成されると同時に、学習効果の強化ももたらされ、肯定的な心理的循環が構築される。さらに、適切な雰囲気の醸成、政策的な誘導、フィードバックと奨励の仕組みは、関連行動の反復と良性循環の形成を促進し、教師が教育者精神を実践する動機を持続的に強化する。

B11 「伝承・支援・指導」(伝・幇・帯)

回答者からは「ベテラン教師の姿勢に感動し、彼らから学んだことは今も役立っている」(P13)といった声が頻繁に見られた。ミラーニューロン理論と社会支援理論が示すように、個人は他者の感情や行動を観察することを通じて共感と内的模倣を喚起し、その行動パターンを内面化することができる。ベテラン教師の言葉に耳を傾け、その行動を見習い、チームワークを経験することは、若手教師の迅速な成長を支えるだけでなく、教育者精神を効果的に継承する契機となる。

B12 自己内省

「絶えず自己反省する意識があってはじめて、真に教育者精神を悟り得る」(P3)との声があった。反省的実践理論と自己決定理論が示すように、教師は授業記録の作成や自己行動の分析、理解の深化といった段階的な振り返りを通じて成長する。その過程で、自律性・有能感・所属感という三つの欲求を満たし、内発的動機づけを強化することができる。これにより、若手教師が教育者精神を実践へとつなげていくことが促される。

5.応用と展望

以上を踏まえ、実践的応用においては、本研究で構築したモデルに基づき、多角的に教育者精神を高める方法論を提示することが可能である。第一に、ドキュメンタリーやインタビュー、ポスター、地元文化をモチーフにしたグッズ、ショート動画などの宣伝物を活用し、ナラティブ素材を提示することが考えられる。これを講座・研修・討論といった形式と組み合わせることで、若手教師が素材と自己の成長を結びつけることを促進できる。第二に、授業コンテストや実践活動、没入型体験学習の機会を提供することが重要である。これにより、若手教師が教育者精神を体験的に内在化する道筋を支援できる。第三に、若手教師が示した教育者精神に合致する行動に対しては、学生からの迅速なフィードバックを含む、タイムリーかつ肯定的で多様なフィードバックと奨励のメカニズムを確立する必要がある。その際、メディアや宣伝能力を活用することで促進効果を持続させることができる。第四に、「伝承・支援・指導」(伝・幇・帯)モデルを通じて、ベテラン教師が若手教師の成長を支援する仕組みを強化する。最後に、教師が日常的に反省や気づきを記録することを推奨し、個人の省察を集団的な反省文化へと発展させることが望まれる。

将来は、本研究を基盤として実証的サンプルをさらに拡大し、検証を深化させる必要がある。同時に、小学校・中学校・高校・大学といった教育段階や教科の違いに着目し、若手教師の精神面における差異を明らかにするとともに、ミクロ的な影響要因を探究すべきである。また、人工知能(AI)やビッグデータなどの新しい技術を組み合わせ、個々の教師に最適化された提案を行うことで、教育者精神育成のパラダイムにおける実践的革新を深化させることができる。その成果は、教育の質的発展を推進するうえで大きな意義を持つと期待される。

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