中日教育論壇
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『中日教育論壇』特集号 2025
  • 田 芊, 馬 晨陽, 王 毅騏, Ruxue XIE
    原稿種別: 原著論文
    2025 年2025 巻 p. 1-10
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/19
    ジャーナル 認証あり
     学校いじめは、青少年の健全な成長に影響を及ぼす重要な課題の一つとして近年大きな注目を集めている。本研究は、雲南省、山東省、河北省の3地域にお いて中学生351名を対象に質問紙調査を実施し、親子親和と学校いじめ行動の関連性、および友情の質の媒介的役割を検討した。その結果、以下の3点が明ら かになった。(1)いじめ加害・被害行動は、性別、学年、ひとりっ子か否か、両親の離婚状況などの要因によって有意な差が認められた。(2)親子親和はいじめ行動と負の相関を示し、友情の質とは正の相関を示した。(3)友情の質はいじめ行動に対する親子親和の影響において、有意な媒介効果を持つことが確認された。本研究は、学校いじめの予防・介入に新たな視点と実証的根拠を提供するものである。
  • グラウンデッド・セオリーに基づく探究
    郭 媛麗, 姜 羽飛, 陳 傑修
    原稿種別: 原著論文
    2025 年2025 巻 p. 11-26
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/19
    ジャーナル 認証あり
     教育者精神は新時代における教師育成の核心的要素であり、若手教師は教育事業の主力として、その教育者精神に対する認識と実践が教育の質に直接的な影響を及ぼす。しかしながら、既存の研究は主に一般的な側面に焦点を当てており、若手教師という集団に対する実証的分析が不足しているため、認識と実践の間に乖離が生じている。本研究ではグラウンデッド・セオリーに基づき、50名の若手教師に対して深層インタビューを実施し、三段階のコーディングを通じて認識と実践のモデルを構築した。その結果、若手教師は教育者精神を「職業的初心」「学生中心」「自己への要求」という三つの核心概念にまとめていることが明らかになった。一方で、実践の中では「教育者精神が遠い存在である」という認識、量的評価制度との矛盾、育成制度の不十分さといった課題に直面している。しか し、日常への融合、ナラティブの継承、没入体験、肯定的報酬、「伝・幇・帯」(ベテラン教師による伝承・支援・指導の制度)、自己内省などの多様な手段を通じて、若手教師の内面に教育者精神を根づかせることは可能である。本研究は、教師評価制度の最適化や教師の道徳・倫理意識の強化に向けた理論的根拠と実践的方策を提供し、新時代における教師の質的発展に資する重要な意義を有していると考えられる。
  • 中国サンプルに基づく実証研究
    郭 棟, 毛 恵通
    原稿種別: 原著論文
    2025 年2025 巻 p. 27-39
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/19
    ジャーナル 認証あり
     本研究は、生活史特性と精神障害症状の一般因子および特定症状との関連について検討し、中国の大学生サンプル(N=2522)を対象に、主観的幼少期予測不能性尺度、Mini-K尺度、およびSCL-90尺度を用いて調査を行った。分析の結果としては、ファスト・ライフヒストリー特性が、精神病理学の一般因子(P因子)を有意に正に予測した一方、スロー・ライフヒストリー特性が、身体化、抑うつ、敵意、精神病性といった特定の症状を負に予測することが示された。ただし、一部の状況においては、身体化および抑うつに正の予測効果も認められた。本研究は、中国サンプルを用いて生活史モデルに基づく精神障害分類枠組みを初めて検証したものであり、個人の精神障害リスクにおける異なる生命史特性が差異的影響を明らかにし、精神病理学的症状学に新たな理解の視点を提供するものである。
  • 郭 家慧, 陳 明慧, 朱 艶, 田 芊
    原稿種別: 研究ノート
    2025 年2025 巻 p. 40-50
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/19
    ジャーナル 認証あり
     近年、青少年のいじめ行動は広く注目される社会的課題となっている。本研究は、従来の単一学問領域に依拠した分析の限界を超え、心理学と社会学を統合した分析フレームワークを構築し、いじめ行動の深層的要因を体系的に解明することを目的とする。まず、青少年およびいじめ行動に関する主要概念を整理し、統合的視角の必要性と理論的根拠を明示する。ついで、本フレームワークを用い、いじめ行動の複雑な要因をミクロ(個人心理)・メゾ(家庭と学校の相互作用)・マクロ(社会文化)の三層構造から多角的に解読する。その上で、それぞれの層に対応する具体的な対策として、個人のレジリエンス強化、家庭・学校・地域の連携的ガバナンス、政策および法制度の整備を含む、包括的かつ体系的な対応ルートを提示し、青少年いじめの効果的な予防・介入に向けた理論的基盤と実践的指針を提供することを目指す。
  • 張 茜, Joyce LIN, 劉 欣怡
    原稿種別: 研究ノート
    2025 年2025 巻 p. 51-64
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/19
    ジャーナル 認証あり
     本研究は、青少年層に焦点を当て、青少年が現代社会において直面しているストレスや心理的困難を分析し、その心理的理的健康の促進に寄与する音楽療法の有効性を明らかにする事を目的としている。音楽療法が作用するメカニズムや「音楽の聴取・歌唱・楽器演奏・音楽創作」という、青少年の自己調整のための音楽療法の諸形式について検討し、音楽療法が青少年の心理的ストレスを効果的に緩和・調整する働きがあることを明らかにした。また複数の実証研究の実験データを分析して、音楽療法が、情緒の調整、認知の発達、社会的スキルの向上などを通じて、青少年の自己調整能力を高めるものであるとの臨床的有効性を確認した。
  • 感情が不安定になりやすい大学生の事例を通して
    朱 艶, 丁 敬耘, 蒋 昕宇, 王 建栄
    原稿種別: 研究ノート
    2025 年2025 巻 p. 65-74
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/19
    ジャーナル 認証あり
     本研究は、家族システム論的視点を大学生のメンタルヘルス教育に導入し、臨床事例と結び付け、システム論的家族療法を高等教育機関における心理的育成活動に応用する可能性を探究するものである。本研究では、感情が不安定になりやすい大学生1名の事例を取り上げ、システム論的家族療法における循環質問、差異質問、リフレーミング、資源志向といった介入技法が、高等教育機関のメンタルヘルス教育においてどのように活用できるかを論じる。また、家庭と学校の協働の意義と実現可能性を検討し、高等教育機関における人格的・心理的育成活動に新たな視座を提供することを目的とする。
  • 上海X大学を事例として
    丁 敬耘, 朱 艶, 朱 馨憶, 張 若男
    原稿種別: 研究ノート
    2025 年2025 巻 p. 75-84
    発行日: 2025/12/02
    公開日: 2025/12/19
    ジャーナル 認証あり
     本研究は、個人化理論に基づき問題を明らかにするために上海X大学の学習困難大学生4名に対してインタビューを実施した。その結果、一部の大学生が単一で保守的な高校生活から脱却し、多元的で開放的な大学生活を送るプロセスにおいて、困難に遭遇していることが明らかとなった。具体的には、学習動機、学習方法、学習選択、学習目標における転換に現れており、彼らは新たな社会秩序に馴染み、「自分自身の生き方」を積極的に模索する必要がでてきたのである。これに基づき、本研究は、上記の四つの側面における転換に対応する戦略を提案する。
  • 居住地と階層的差異に着目して
    余 常清
    原稿種別: 研究ノート
    2025 年2025 巻 p. 85-103
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/19
    ジャーナル 認証あり
     本研究は、中国の大都市の上海市に在住する小学生をもつ親へのインタビュー調査のデータを用いて、親の社会関係資本と教育戦略をテーマとするものである。その際、先行研究で主に取り上げられてきた社会階層だけではなく、居住地も重要な要因の一つとして検討されてきた。  社会関係資本は、子どもの教育に極めて重要な役割を果たしており、これまで、親の社会関係資本の階層差の存在については多くの研究がなされてきた。そこで本稿では、親の社会・経済的地位を加えて、居住地にも注目していく。分析結果としては、都心部においては、富裕層は、同質的な社会関係資本を維持しつつ、「結束型社会関係資本」を子どもの教育に最大限に活用しようとする姿勢がみられ、貧困層は、居住地の便益を活かし、「橋渡し型社会関係資本」の構築に努めていることがわかった。一方、近郊部においては、富裕層は、時間的余裕がないことから、近所に住む親族・親戚が積極的に関与する「結束型社会関係資本」の活用が見られ、貧困層は、社会階層と居住地の両方の面で不利な立場であるため、社会関係資本を子どもの教育に十分に活かすことができない現状が明らかになった。本稿は、それぞれの社会階層に属する親は、居住地の影響を受けながら各自の社会関係資本を構築しつつ、最終的にそれらの社会関係資本が子どもの教育に作用するというプロセスを検討した。その結果、社会関係資本の形成および活用には社会経済的地位のみならず、居住地の影響も見落とせないことを明らかにした。
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