2024 年 31 巻 6 号 p. 79-91
つまずきとその結果生じる転倒は傷害の主な原因であるが、特に高齢者では、死亡に至るおそれもある。多くの研究者が、転倒する人としない人を識別するバイオメカニクス的メカニズムを研究し、それらの結果にトレーニングが有益な影響を及ぼすことができるかを究明してきた。エクササイズや課題特異的な介入により、つまずいた後の転倒が減少することは証明されているが、それには費用や特殊な機器が必要な場合も多く、実用性はあまり高いとはいえない。有資格者のヘルス&フィットネス専門職は、3つの要素(バランストレーニング、課題特異的トレーニング、レジスタンスエクササイズ)に着目し、エビデンスに基づいたエクササイズ中心のプログラムを作成することができる。そのようなプログラムは、従来の研究に基づくことにより、高齢者の転倒リスクの低減に役立つと思われる。それらの研究は、つまずいて動揺した後の転倒回避を成功させるためのバイオメカニクス的要求を明確に示している。これらの複合的なプログラムには、特別な機器を必要としない、安全で課題特異的なトレーニング要素を取り入れることが必要である。