Strength and Conditioning Journal Japan
Online ISSN : 2759-0674
Print ISSN : 1883-4140
31 巻, 6 号
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特集
From Strength & Conditioning Journal
CEU クイズ関連記事
  • Jo Clubb, Sian Victoria Allen, Kate K. Yung, PT
    2024 年31 巻6 号 p. 12-20
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/01
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    重要パフォーマンス評価指標(KPI:Key performance indicators)は、ビジネスやスポーツで広く用いられている。KPIはデータやプロセスをパフォーマンスの結果に結びつける客観的な手段を提供する。しかし、スポーツパフォーマンス、特にチームスポーツにおけるKPIの適用には、問題がないわけではない。本稿では、チームスポーツにおけるKPIの適用に関して、4つの重要な問題を検討する。すなわち、普遍的な定義の欠如、パフォーマンスの複雑さ、フィールド内とフィールド外のパフォーマンス目標の乖離、および様々な主要ステークホルダー間のエージェンシー問題である。スポーツパフォーマンスのKPIに関するこれらの問題を念頭に置いて、我々は、複雑なスポーツ環境において、専門職がパフォーマンス環境と成功の機会を生み出す条件づくりに注力することを支援することを目的として、補完的なアプローチを提案する。継続的プロセストラッカー(OPT:Ongoing process tracker)は、パフォーマンスの結果を成功に導くための環境や文化、状況を作り出す行動や実践のプロセスを定量的に測定する方法である。本稿のアプローチにより、スポーツ科学専門職は、そのプログラムにおいてOPTを選択し使用を開始する際に、自分とチームに問うべき重要な質問を入手し準備することができる。

  • Hugo Silva, Fábio Yuzo Nakamura, Julen Castellano, Rui Marcelino
    2024 年31 巻6 号 p. 21-30
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/01
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    トレーニング負荷を定量化することは、アスリートがトレーニング処方に適切に反応し、傷害リスクを低減するために重要である。トレーニング負荷は、トレーニング要求に対する個人の反応である内的トレーニング負荷と、選手の身体的な「仕事」である外的トレーニング負荷に分けられる。本レビューは、サッカー選手の週単位のトレーニング(ミクロサイクル)におけるトレーニング負荷を分析することを目的とした。系統的な検索を3つの電子データベース(PubMed、SPORTDiscus、およびWeb of Science)において実施し、システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目(PRISMA)声明の指針に従った。最初に特定された研究1,718件から、スクリーニングを経て16件を採用した。記述的分析とZスコア分析を、負荷の各変数(加速度と減速度、平均速度、高速ランニング、スプリント、総距離、選手負荷[Player Load]、%最大心拍数、および主観的運動強度[RPE])について実施した。本レビューのサンプルは、16.4~27.6歳の男子サッカー選手317名であり、エリート、プロ、およびユースの各レベルで競技していた。週内で最も負荷の高いセッションは、加速度と減速度、平均速度、およびPlayer Loadを除き、試合日の3日前であった。最も負荷の低いセッションは、スプリントとRPEを除き、試合日の前日であった。結論として、週半ばのセッションは、高いトレーニング負荷を適用することができる一方、試合直前と直後のトレーニングセッションは、テーパリングやリカバリーのために用いることができる。

  • Staci M. Thomas, Katie F. Beasley, Jennifer C. Rodriguez-MacClintic, S ...
    2024 年31 巻6 号 p. 31-41
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/01
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    若年性線維筋痛症(JFM)は、広く骨格筋に及ぶ慢性の疼痛症状であり、日常生活能力を低下させ、多くの併存症状を示す。最新のガイドラインでは、理学療法や認知行動療法(CBT)を含めた多面的な治療が推奨されている。線維筋痛症への介入には、定期的な有酸素性トレーニングとストレングスエクササイズが有効であり、訓練を受けた専門職の監督下で実施することが推奨されている。2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行によって各国の医療システムが崩壊し、医療実践はプラットフォームを遠隔健康管理に移すことを余儀なくされた。COVID-19の大流行による制限の下、線維筋痛症の青少年に対面で提供されてきた線維筋痛症統合トレーニング「FIT Teens」プログラムも、セッションが中断された。このプログラムには、神経筋系トレーニング(NMT)とグループで実施するCBTが組み込まれていた。介入の選択肢を維持するため、行動および運動介入部門が、リモートプログラムに移行された。本稿は、NMTプロトコルの調整過程を検証し、実施面および臨床面の留意点を指摘して、リモート提供の利点と制限を明らかにする。リモートでのNMTプログラムには、対面プログラムの主要素が保持されており、パンデミックの最中も介入を継続することを可能にしている。現在、医療の多くの側面が遠隔健康管理に移行され、将来的にこの種の介入を提供することが期待されている。FIT Teensプロジェクトから得られた知見は、今後のリモートによる運動介入の設計に役立つであろう。

  • Thomas Dos’Santos, Alistair McBurnie, Christopher Thomas, Paul A. Jone ...
    2024 年31 巻6 号 p. 42-57
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/01
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    サイドステップ、シャッフルステップ、クロスオーバーカッティング、スプリットステップ、スピン、減速、鋭いターンなど、攻撃的アジリティ動作は、侵略的チーム競技において、試合の勝敗を決する瞬間としばしばかかわる重要な動作である。一般的にこれらの動作の目的は、(a)敵を回避して振り切ること、(b)速い方向転換直後の速度と運動量を生み出すこと、(c)鋭い切り返し動作を促すことにある。しかし、これらの動作は下肢の傷害と関連する動作も招く。本稿は、競技パフォーマンスと傷害リスクにおけるアジリティ動作の重要性を踏まえて、攻撃的アジリティ動作の重要性と試合の文脈に応じた適用について論じる。また、パフォーマンスと傷害リスクの二項対立を解消するための指導とテクニックの指針を提案する。

  • Alex Brennan, Alex Ehlert, Jack Wells, Mark Broadie, Daniel Coughlan, ...
    2024 年31 巻6 号 p. 58-68
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/01
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    ゴルフの関連文献においては、クラブヘッドスピードがゴルフのパフォーマンスの評価指標として最も広く報告されている。しかし近年、弾道測定器の技術が普及して利用が拡大するのに伴い、ゴルフショットについて幅広い指標が収集されるようになった。加えて、飛距離と左右へのばらつき(精度)は、あらゆるショットの結果尺度であり、ゴルフにおいて最も重要な要素であることから、弾道測定器は、ゴルフショットがどのように実施されたかについて理解を深めるのに役立つ。しかし現在のところ、ゴルフに携わる専門職にとって、これらの指標がどのように影響し合い、ショットの結果に関与しているかの理解に繋がる情報はごく限られている。そこで本レビューでは、ゴルフショットの決定論的モデルを構築し、それら弾道測定器の指標と、飛距離および精度の結果尺度との関係を概観した。この情報は、専門職にとって、ゴルフショットがどのように実施されたかをより詳細に理解する上で役立ち、ゴルフパフォーマンスをモニタリングして選手にフィードバックを提供するためのより体系的な方法をもたらすものとなる。

  • Apurva Mathankar, Kirti S
    2024 年31 巻6 号 p. 69-78
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/01
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    現在、クリケットの人気が高まりつつあるが、ポジション別のストレングス&コンディショニングの研究は不足している。スピン・ボウリングに関する先行研究の多くは、ボールのスイング、フライト、偏差、およびその原理に関するものである。スピン・ボウラーのポジション要求(ニーズ分析)や、至適パフォーマンスの達成に必要な特異的なトレーニング方法に関してはあまり知られていない。スピン・ボウラーは、ボウリングによってきわめて重要な攻撃的役割を担う。つまり、ボールに回転を加えることでボールの軌道をウィケットから逸らして、バッツマンを欺く。そのため、クリケットのチームパフォーマンスを向上させるには、スピン・ボウラーのパフォーマンスの向上に焦点を当てるとよい。本稿は、クリケットのスピン・ボウラーに特異的なバイオメカニクス、Time-Motion分析、生理学、傷害の疫学に関する研究のレビューに基づいてニーズ分析を行ない、分析に基づいて、スピン・ボウラーのストレングス&コンディショニングプログラムを実施する際の留意事項と指針を示す。

  • Ryan P. Baylor, Jacob W. Hinkel-Lipsker, S. Victoria Jaque, Sean P. Fl ...
    2024 年31 巻6 号 p. 79-91
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/01
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    つまずきとその結果生じる転倒は傷害の主な原因であるが、特に高齢者では、死亡に至るおそれもある。多くの研究者が、転倒する人としない人を識別するバイオメカニクス的メカニズムを研究し、それらの結果にトレーニングが有益な影響を及ぼすことができるかを究明してきた。エクササイズや課題特異的な介入により、つまずいた後の転倒が減少することは証明されているが、それには費用や特殊な機器が必要な場合も多く、実用性はあまり高いとはいえない。有資格者のヘルス&フィットネス専門職は、3つの要素(バランストレーニング、課題特異的トレーニング、レジスタンスエクササイズ)に着目し、エビデンスに基づいたエクササイズ中心のプログラムを作成することができる。そのようなプログラムは、従来の研究に基づくことにより、高齢者の転倒リスクの低減に役立つと思われる。それらの研究は、つまずいて動揺した後の転倒回避を成功させるためのバイオメカニクス的要求を明確に示している。これらの複合的なプログラムには、特別な機器を必要としない、安全で課題特異的なトレーニング要素を取り入れることが必要である。

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