Strength and Conditioning Journal Japan
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特集
  • タクティカルストレングス&コンディショニング概論
    酒井 崇宏
    2025 年32 巻9 号 p. 4-10
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー

    日本の平和と市民の安全な生活は、警察官、消防官、自衛官、海上保安官といった公安系職種によって支えられている。近年、米国を中心に、これらの職種を「タクティカルアスリート」と捉え、スポーツ科学の知見を基盤に支援する体制の整備が進展している。本稿では、タクティカルアスリートに対して適用するS&Cである、タクティカルストレングス&コンディショニングの概要を提示し、S&C専門職の知識と経験を社会に還元する道筋を論じる。また、公安系職種を対象とした暑熱順化の意義、方法、および制約を整理し、安全性を確保しつつ暑熱耐性の底上げや上限拡張を目指す実践の重要性を示す。

エクササイズ指導
From Strength & Conditioning Journal
CEU クイズ関連記事
  • Zachary A. Mang, Jason R. Beam, Adam H. Martinez
    2025 年32 巻9 号 p. 16-26
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル 認証あり

    消防は身体的要求の大きな職業であり、消防士は非常に高い筋持久力、筋力、パワー、有酸素性能力を有することが求められる。ほとんどの状況において、消防士としてのキャリアは訓練校から始まる。訓練校では、様々なエクササイズプログラムをこなしながら、重要な任務(被害者の救助方法など)を習得する。現在の研究によると、レジスタンス、エアロビクス、サーキット、コンカレント、ファンクショナルなど、複数のトレーニング形式が、消防士候補生の身体能力と職務遂行能力に好影響を及ぼすとされる。多くの消防署ではジムの利用環境は限られているため、訓練校では、学校独自の機器や施設を用いて実施できるエクササイズプログラムを採用するのが最も現実的である。幸いにも、本稿で取り上げた研究では、利用できる施設/機器が最小限でも最大限でも、効果的なトレーニングが実施できることが明らかになっている。今後の研究に関しては、最小限の機器を用いたプログラムと最大限の機器を用いたプログラムの効果を比較し、この両極端のプログラムを組み合わせたトレーニング計画を適用することが、研究者にとって興味深いと思われる。さらに、職務課題の遂行と学習に対応するため、研究者は、最小有効トレーニング量を適用しながら、現在の訓練校の身体的要求を満たす、期分けしたトレーニング計画を立案する必要がある。

  • Jonathon Weakley, Georgia Black, Shaun McLaren, Sean Scantlebury, Timo ...
    2025 年32 巻9 号 p. 27-47
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル 認証あり

    アスリートの身体的特質を理解することは、トレーニング処方、モニタリング、順位付けを洗練させることに繋がる。したがって、アスリートへのテストの実施とプロファイリングは、ストレングス&コンディショニングの重要な側面である。しかし、結果の解釈は容易ではない。利用可能なテストと結果の変数における幅広さ、利用するテクノロジーの多様な形式、実施する標準化のレベルが問題になる。さらに、基本的な科学的原則に従っているかどうかを注意深く検討しなければ、身体的特質が誤って伝わることになる。本稿は、影響力のあるテストバッテリーを開発して、運動能力育成に関する専門職の理解を最大化することと、パフォーマンスの変化をモニタリングしてトレーニングの個別化を促し、支援することを目指す。また、テストとテストの結果尺度を選択する際の指針を示す。適切な解釈、セットアップ、テストプロトコルの標準化のための留意点、テストから得られる情報を最大化する方法、データの視覚化と解釈を促進するためのテクニックを論じる。

  • Júlio Benvenutti Bueno de Camargo, Tiago Volpi Braz, Wolfgang Kemmler, ...
    2025 年32 巻9 号 p. 48-56
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル 認証あり

    全身性の電気的筋刺激トレーニング(WB-EMS)は、近年トレーニング方法として人気が高まっている。本レビューは、様々な集団や目的におけるWB-EMSの潜在的な利点とリスクについて概説することを目的とする。レビューの結果から、WB-EMSは、非鍛錬者における筋量および筋力の向上に特に効果的であることが示唆される。しかし、長期的な効果を明らかにし、異なる集団やトレーニング状況における使用を最適化するには、さらなる質の高い研究が必要である。全般的な健康関連の変数については、WB-EMSは、長期にわたって適切なエネルギーまたはタンパク質の摂取と組み合わせることで、実行可能かつ時間効率に優れたエクササイズ方策となる可能性が考えられる。

  • Ryan Burke, Gerard McMahon, Brad J. Schoenfeld
    2025 年32 巻9 号 p. 57-66
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー

    活動中の筋群から遠位における四肢(手のひらや足裏など)に冷温物質を当てることによる非侵襲的なセット間の回復戦略があるが、その潜在的なエルゴジェニック(運動能力向上)効果を探る研究が始まっている。このような戦略は、中枢神経系への刺激を増大させて、活動筋の興奮と運動単位の動員を増強することにより、レジスタンストレーニング(RT)のパフォーマンスを一時的に向上させ、その結果、発揮筋力を増大させ、疲労困憊までのレップ数の増加をもたらす可能性があると示唆されていた。さらに、遠位部の冷却などの末梢刺激は、RT中の苦痛感を一時的に軽減し、エクササイズへの耐性を高め、より多くのトレーニング量を完遂できる可能性がある。RT中のセット間における遠位部冷却に増強効果があることを示唆するエビデンスはいくつかあるが、特定の方法論的な問題や縦断的研究の不足、相反する知見などがあるため、それらの研究の有効性には疑問も生じている。したがって、本レビューの目的は、セット間の手のひらや足裏の冷却がRTのパフォーマンスの結果に及ぼす影響に関して、既存のエビデンスを評価することである。

  • João Lino-Mesquita, Ivan Baptista, Fábio Yuzo Nakamura, Filipe Casanov ...
    2025 年32 巻9 号 p. 67-76
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル 認証あり

    トレーニング負荷のモニタリングをめぐって、近年、研究者の関心を集めているテーマは、プレーにおいて最も要求の高い時間帯(MDPs)である。しかし、MDPsの分析はまだ始まったばかりであり、概念的および方法論的な問題がある。本稿は、MDPsの分析に利用されている、多様な方法の概念的および方法論的な差異を明らかにし、統合することによって、MDPsに関するより広い観点を提供する。特に強調しておかねばならないことは、以下のとおりである。(a)MDPsについて現在入手可能な情報は外的負荷(特にランニングベースの尺度)にほぼ限られており、内的負荷を焦点とする研究はほとんど存在しない。(b)尺度は一変数によって分析されており、多くの変数が関与する可能性のあるMDPsの発生シナリオが無視されている。(c)MDPsは、個人的、戦術的-テクニック的、文脈的因子の複雑な相互作用によって、経時的に大きく変動する。(d)戦術的-テクニック的観点からのMDPsにおける文脈化に関しては、ほとんどエビデンスがない。したがって、MDPsを捉えるには、外的負荷をゲームの各瞬間や戦術的行動と相互参照することが適切であろう。ただし、試合ごとの変動性が内在することを考えると、固定されたベンチマークという考えは避けるべきである。専門職は、MDPsを補完的な処方戦略(ケーキ本体ではなく上に乗せるチェリー)として、トレーニングセッション(の一部で?)でMDPs(とその文脈)を模倣するとよい。ただし、そのような練習方法の実施可能性と有効性を調査する必要がある。

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