2025 年 32 巻 1 号 p. 40-55
スポーツにおける相対的なエネルギー不足(RED-S)は、内分泌系、代謝系、および生理学的不適応の複合的な症候群である。長期的な利用可能エネルギー不足(LEA)に曝されることによって、生理学的および心理学的健康とパフォーマンスへの悪影響が発生する可能性がある。LEAは、運動によるエネルギー消費量(EEE)と正常な生理学的機能に対して、エネルギー摂取量(EI)が不足すると発生する。健康への長期的悪影響を避けるには、LEAとRED-Sを早期に検出することがきわめて重要である。LEAがRED-Sの根本的な原因であることを考えると、推奨される治療法は、アスリートの利用可能エネルギー量(EA)を至適レベルに増加させることである。本稿は、LEAとRED-Sのスクリーニングと診断ツールに関する最新のエビデンスと指針を検証するとともに、推奨される治療方策を示し、EEEの軽減、EIの増加、糖質の利用可能量、1日のEA、心理学的サポート、学際的チームの役割などについて論じる。最後に、回復過程に関する文献レビューを行なう。今日までの研究内容の概要を伝え、RED-Sの特定、管理、治療のための実践的指針を提供する。