2025 年 32 巻 8 号 p. 36-43
車いすテニスは、米国における一般およびプロの両分野で大きな成長を遂げてきた競技である。この成長の多くをもたらしたのは、全米テニス協会(USTA)が1998年にパラリンピック側のテニス競技も統括するようになり、さらに2021年には、車いすテニスが同協会の様々な事業部門に完全統合されたことである。その結果、USTAの育成プログラム『Player Development』の対象選手およびハイパフォーマンス選手に、利用できるリソースの拡大という利点をもたらした。最も明白な利点のひとつは、USTAのストレングス&コンディショニング(S&C)専門職をナショナルレベルの専門職として活用することで、競技パフォーマンスの向上と傷害発生率の低減を図れることである。車いすテニスのコーチとS&C専門職は、協力して競技のための革新的な調整や変更に取り組んでいる。そこで本稿では、USTAがテニス競技の国内統括団体(NGB)として事業と組織面で果たした重要な進歩に焦点を当てるとともに、車いすテニス選手に特異的なS&Cのニーズを構築し、導入するための実践的な方策について論じることを目的とする。