Strength and Conditioning Journal Japan
Online ISSN : 2759-0674
Print ISSN : 1883-4140
32 巻, 8 号
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特集
  • 飯田 悠佳子
    2025 年32 巻8 号 p. 4-13
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/01
    ジャーナル フリー

    子どもの体力・運動能力に対する望ましいトレーニングや指導を考える際には、目の前の子どもがいつ(時代)、どのような環境に暮らしているのか(国や地域、社会状況、運動・スポーツ習慣など)、そしてどのくらいの発育発達段階(暦年齢・生物学的成熟)にあるのか、などを踏まえることが不可欠である。本稿では、日本の子どもにおける体力・運動能力の時代変化を概観し、その現状を把握する。次に、その子どもたちの体力・運動能力の発達変化に目を向け、発育発達に応じた運動・トレーニングのあり方について、トレーニング効率と安全性の面から述べる。最後に、個人内の発達変化に様々な形で影響を及ぼす生物学的成熟について、その重要性とスポーツ現場で用いうる評価指標を確認する。

From Strength & Conditioning Journal
CEU クイズ関連記事
  • Charlie R. Ottinger, Kevin M. Hall, Shelby A. Shepherd, Anthony J. Cam ...
    2025 年32 巻8 号 p. 14-23
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/01
    ジャーナル 認証あり

    安全で効果的なエクササイズプログラムを作成するには、豊富なトレーニング変数を適用し、それぞれの変数に対して適切な漸進を取り入れることが必要である。重要なことは、各トレーニングプログラムの成果は、これらの変数とその漸進の成果であるということである。そのため専門職は、目標とするトレーニングの成果を効果的に促進する方法論と過負荷の手法を用いることに熱心に取り組んでいる。そのようなトレーニング変数のひとつが機械的負荷である。これは、重力、抵抗、筋活動とそれらが及ぼす力が、どのように筋骨格系の適応に影響するかを説明している。機械的負荷と運動適応に対するその効果については、すでに多数の研究論文や著作が発表されている。しかし、これらの知見を整理するには多大な努力を要し、専門職は、さらなる時間投資が求められる。専門職は、様々な身体的スキルや課題をもつクライアントおよび患者と日々向き合っているため、簡潔なシステムを構築することはきわめて重要である。容易に参照できる負荷のガイドラインがあれば、適切なS&Cプログラムやリハビリテーションプログラムを作成する際に役立つだろう。したがって、本レビューの目的は、専門職が適切なエクササイズ様式と漸進方法を識別する際に役立つように、機械的負荷の連続体とその個々の構成要素を定義し説明することである。

  • Cintia Lassalvia, Ursula Ferreira Julio, Emerson Franchini
    2025 年32 巻8 号 p. 24-35
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/01
    ジャーナル 認証あり

    形は、空手の稽古において広く実践される重要な要素であり、東京オリンピックで初めて正式競技種目として採用された。本スコーピングレビューは、競技者および実践者における形の演武中に求められる生理学的要求とエネルギー供給機構の寄与について、これまでに明らかにされている知見を整理・提示するものである。本レビューは、心拍数、血中乳酸濃度、および酸素摂取量に関連する指標に焦点を当てている。

    論文はWeb of Science、PubMed、Scopusから検索し、104編の論文のうち、10編が本レビューの対象とみなされた。結果は、形の実践が心肺持久力を向上させうることを示した。心拍数および乳酸値は、形の種類や実施者の熟練度に応じて変動した。乳酸応答は、形を3回繰り返したあとに、安静時よりも有意に増加した。エネルギー供給機構の寄与は形の演武時間に関連しており、競技で実施されるような長時間の形では、酸化系エネルギー供給機構が主要な役割を果たすことが示された。

  • E. Paul Roetert, Jason Allen, Karl Davies, Jason Harnett, Satoshi Ochi
    2025 年32 巻8 号 p. 36-43
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/01
    ジャーナル フリー

    車いすテニスは、米国における一般およびプロの両分野で大きな成長を遂げてきた競技である。この成長の多くをもたらしたのは、全米テニス協会(USTA)が1998年にパラリンピック側のテニス競技も統括するようになり、さらに2021年には、車いすテニスが同協会の様々な事業部門に完全統合されたことである。その結果、USTAの育成プログラム『Player Development』の対象選手およびハイパフォーマンス選手に、利用できるリソースの拡大という利点をもたらした。最も明白な利点のひとつは、USTAのストレングス&コンディショニング(S&C)専門職をナショナルレベルの専門職として活用することで、競技パフォーマンスの向上と傷害発生率の低減を図れることである。車いすテニスのコーチとS&C専門職は、協力して競技のための革新的な調整や変更に取り組んでいる。そこで本稿では、USTAがテニス競技の国内統括団体(NGB)として事業と組織面で果たした重要な進歩に焦点を当てるとともに、車いすテニス選手に特異的なS&Cのニーズを構築し、導入するための実践的な方策について論じることを目的とする。

  • Sérgio M. Querido, Régis Radaelli, João Brito, João R. Vaz, Sandro R. ...
    2025 年32 巻8 号 p. 44-55
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/01
    ジャーナル 認証あり

    エリートレベルのサッカー選手において、試合後の回復を至適化する方法がいくつか提案されている。しかし、試合直後、試合1日後、試合2日後の回復過程を促進する実施方法に関する実践的指針は不足している。本稿は、先行研究をレビューして、サッカーの試合後に最も多く利用されている回復方法について、スポーツ科学者、コーチ、医療従事者、選手に実践的指針を提供することを目指す。まず、一般的な回復方策モデルを提示する。回復における効果、利用頻度、報告されている悪影響に基づいて、多様な回復方法を回復との関連性の高さに従って5つのレベルに分類した。さらに、様々な変数(身体的、生理学的、主観的)の回復と、生理学的および心理社会的仮定に従って、試合当日から試合後2日間にわたって各回復方法を実施するための指針も提供する。回復方法は試合後の回復期において、優先順位をつけ、期分けし、個別に実施するべきである。また、回復への効果が限定的であっても、生理学的仮定と心理社会的利益に従って利用が推奨される回復方法もある。

  • Jeremy A. Ross, Jacob D. Jelmini, Brian K. Leary, Matthew C. Hoch, Nic ...
    2025 年32 巻8 号 p. 56-69
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/01
    ジャーナル 認証あり

    回復を伴わない長期間のオーバーリーチングは、非機能的オーバーリーチングおよびオーバートレーニングのリスクを伴う。コーチはこれらのリスクを低減するため、しばしばジャンプテストを用いてオーバーリーチングのスクリーニングを実施しているが、多くのコーチは、どのジャンプ変数を測定すべきか確信をもてずにいる。そこで、トレーニングストレスの増大に関連づけられるジャンプの運動力学的および運動学的変数を特定することを目的に、システマティックレビューを実施した。無負荷の垂直跳びテストを用いて、全国レベル以上の健康な成人アスリートにおけるオーバーリーチングをモニタリングした論文を採用した。運動力学的/運動学的変数の測定値を報告していない、効果量(ES)および信頼区間(95%CI)を算出するのに十分なデータを含まない、あるいは英語で書かれていない論文は除外した。14件の論文が、採用基準を満たした。大半の研究は、バイアスリスクが低い(71.4%)か中程度(21.4%)であった。29の異なる結果変数が報告され、うち11の変数が複数の研究で報告されていた。最も多く報告されていた測定値は、滞空時間と筋活動時間の比(15のESが報告)、跳躍高(JH:12のES)、平均パワー(7つのES)、ピークパワー(PP:7つのES)、平均速度(5つのES)、およびピークフォース(PF:5つのES)であった。そのうち、PP、PF、およびJHは、最も一貫して負の変化を示した。コーチは、ジャンプのスクリーニングにおいて、ジャンプ方法の変化を含む指標をJHと併せて考慮すべきである。

  • Kurtis Cusimano, Paul Freeman, Josh Pawaar, Jason Moran
    2025 年32 巻8 号 p. 70-86
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/01
    ジャーナル フリー

    最大力発揮能力の前に行なわれるサイキングアップについて包括的に検討することは、その効果を検証し、実践者に有益な戦略を特定し、今後の研究の方向性を示すために不可欠である。本システマティックレビューの目的は、最大力発揮能力に対するサイキングアップの効果を検証することにある。レビュー方法はPRISMAの指針に従い、文献検索にはSPORTDiscus、PsychINFO、PsychARTICLES、MEDLINE、Google Scholar、Web of Scienceを利用した。レビューに含める基準は、実験デザインを利用していること、成人を被験者とすること、定義に合ったサイキングアップを独立変数として含むこと、最大力発揮能力を測定していることである。この包含基準を満たす文献は27本であった。文献を総合すると、試行の65%でサイキングアップが最大力発揮能力を促進することが見出された。自由選択によるサイキングアップ、動機付けセルフトーク、PETTLEPイメージ法、処方による準備的覚醒は、一貫してパフォーマンスを向上させていた。また、研究結果のばらつきは、被験者の競技経験と対照条件のタイプに起因する可能性も示された。本レビューの結果、自由選択によるサイキングアップ、動機付けセルフトーク、PETTLEP法、処方による準備的覚醒は、最大力発揮能力を高める可能性があることが見出された。今後の研究では、経験豊富なアスリートを参加させ、現場の指導職が利用する戦略を特定してその効果をテストする必要がある。

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