脳卒中の外科
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症  例
体重減少を主訴とした医原性椎骨動静脈瘻の1例
宇野 淳二亀田 勝治吉田 正太尾辻 亮介連 乃駿長岡 慎太郎前田 一史伊飼 美明魏 秀復
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2018 年 46 巻 2 号 p. 155-158

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抄録

目的:椎骨動静脈瘻(VAVF)はまれな病変であり,原因として外傷性または特発性が挙げられる.症状の多くは耳鳴りと血管雑音であるが,体重減少を主訴とした例はいまだない.
症例:26歳,男性.体重減少と鎖骨上部の拍動性腫瘤を呈した.この入院の7年前,右頚静脈はGuillain-Barré症候群の治療のためにカテーテルを挿入されていた.脳血管撮影では,右椎骨動脈のV1 segmentと傍脊柱静脈叢との間に高流量VAVFが示された.瘻孔は,detachable coilを使用することにより,右椎骨動脈のinternal trappingにて治療した.術後経過は良好であり,追跡期間の31カ月間に再発はなかった.治療後体重は1年間で10 kg増加した.体重減少と本疾患の因果関係は明らかでないが,心不全患者の合併症の1つである体重減少と同様な機序が考えられる.
結論:血管内治療はVAVFの治療として,第一選択となり得る.

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© 2018 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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