脳卒中の外科
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症  例
前庭神経鞘腫に対するガンマナイフ治療から28年後に末梢性前下小脳動脈瘤破裂を起こした1例
高橋 翔太石井 洋介相澤 有輝佐藤 陽人根本 繁
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2023 年 51 巻 3 号 p. 227-232

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抄録

ガンマナイフ治療(GKRS)後に脳動脈瘤が誘発された報告が散見されている.前庭神経鞘腫に対してGKRSが行われ,長期間を経てくも膜下出血(SAH)を発症した症例を経験したので報告する.

患者は66歳男性で,28年前に右前庭神経鞘腫に対してGKRSが施行された.急な頭痛と嘔吐を主訴に救急搬送され,頭部CTでSAHと診断された.脳血管撮影にて右前下小脳動脈(AICA)末梢に紡錘状動脈瘤を認め,破裂動脈瘤と考えられた.MRIで拡大した右内耳道内に残存腫瘍と接する動脈瘤を認めた.発症14日目に開頭手術を行った.外側後頭下開頭を行い,内耳道後壁を削除すると,内耳道内に残存腫瘍とそれに包まれる動脈瘤を認めた.腫瘍と動脈瘤の癒着は強固であり,腫瘍と一塊にして動脈瘤を摘出した.術後,一過性の顔面神経麻痺はみられたものの脳梗塞の出現はなく,mRS 1で自宅へ退院した.

脳動脈瘤形成はGKRSのまれな遅発性合併症ではあるが,近年報告が増えており,その治療方法に関しては一定の見解はない.われわれはGKRSにより誘発されたAICA末梢の破裂脳動脈瘤に対して直達手術により良好な結果を得ることができた.

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© 2023 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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