2024 年 52 巻 1 号 p. 55-60
脳動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)のfeeder遠位部に形成されたflow-related aneurysm(distal FA)は破裂急性期に自然血栓化することがまれにあるが,その後の自然経過に関しては不明な点が多く,これまでに再開通に関連した報告はない.今回,破裂distal FAが自然血栓化後に再開通した症例を経験したので報告する.
症例は33歳女性.脳室内穿破を伴う右基底核部の脳内出血で発症したAVMで,血腫腔内に出血源と考えられるdistal FAを認めた.distal FAは破裂急性期に自然血栓化し,発症2カ月の時点で画像上の描出はなかったが,発症20カ月後に再開通を認めた.再出血のリスクがあり,ナイダスに対するガンマナイフ照射とdistal FAに対する塞栓術を施行した.
出血後に自然血栓化した破裂distal FAは,本症例のように慢性期に再開通をきたす可能性があるため,慎重な画像追跡が必要である.