2024 年 52 巻 2 号 p. 134-139
Bow hunter’s strokeはまれな病態であり確立された治療方法はない.今回われわれは,母血管塞栓術により治癒が得られた症例を経験したので報告する.
症例は71歳の男性.この半年間で椎骨脳底動脈灌流域に脳梗塞を繰り返していた.脳血管撮影にてC5/6レベルで右椎骨動脈の狭窄およびC6/7レベルで解離性動脈瘤を認め,頭部の右回旋時にC7レベルで右椎骨動脈閉塞を認めた.右椎骨動脈は非優位側であった.病変部に血栓像を認めなかったが,解離病変部位からの塞栓性機序によるBow hunter’s strokeと診断した.内科的治療で脳梗塞再発をきたしていたため,さらなる治療介入が必要と判断し,解離性動脈瘤の処置も含めた母血管塞栓術を行った.術後2年の経過で脳梗塞の再発は認めていない.病側椎骨動脈が非優位側などかぎられた条件にはなるが,塞栓性機序によるBow hunter’s strokeに対して,母血管塞栓術は選択肢の1つになり得る治療と考えられた.