脳卒中の外科
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総  説
脳動静脈奇形 ─Phase contrast MRIを基盤とした血流解析から読み取る未来─
長谷川 洋敬武田 康寛新谷 祐貴梅川 元之小泉 聡金 太一鈴木 雄一関根 鉄朗齊藤 延人
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2024 年 52 巻 4 号 p. 249-253

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抄録

脳動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)は出血性脳卒中の原因となるため治療が望まれる一方,特に未破裂AVMの治療は高難度のものとなる.このため,自然歴を予測することで破裂しやすいAVMを特定し,効率的に治療することが予後改善につながり得る.他方,定位放射線治療(stereotactic radiosurgery:SRS)はAVMに対する低侵襲な標準治療の1つであるが,効果は即時的ではなく,待機期間中の出血という問題が残るため,治療後の閉塞・非閉塞を予測することができれば,効果的に追加治療につなげることができる.phase contrast magnetic resonance imaging(PCMRI)はphase shift,つまり極性の異なる2つの磁場をかけることに伴う位相差を利用する撮像法であり,非侵襲的な定量的流速評価法として活用されている.本総説ではAVMの血流解析と出血ならびに治療反応性の関連をテーマに,当院にて行ったPCMRIベースの血流解析に基づく3つの研究を踏まえ,世界における現状をまとめた.PCMRIは,特に近年の技術的進歩により臨床応用へのハードルが低下しており,AVMにおける個別リスクの見極めや治療戦略の最適化に貢献すると期待される.

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© 2024 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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