2024 年 52 巻 4 号 p. 254-257
本研究は脳血管内治療領域におけるsupply chain management1)の変革を行うことが目的である.脳血管内治療では,マイクロカテーテル,コイル,ステントといった高額な器材を疾患ごとに選択して治療を行う.治療現場の問題点としては,習熟した術者として経験を積むまでの時間は長く,一方,一般的な施設では経験数が多くないため,他院の上級医(指導医)の支援で治療を進めざるを得ないことも多くある.また医療経済的な側面では,治療器材の不要在庫や,滅菌切れによる廃棄コストが,最終的には製品コストに上乗せされるという問題がある.これに加え,治療器材が,多数の病院に少量ずつ保管され,かつ複数の業者倉庫に散在して保管されている.そのため手術で必要とされている病院に,迅速かつ的確に器材を届けることが困難であるという問題がある.
本研究では,脳血管内治療時の治療計画支援においてAI技術および遠隔医療技術を用いて,医師業務負担の軽減および医療経済を改善するシステムの構築を行う.デバイス選択と手術指導のAI解析には2施設で経験した多数の治療データベースを解析する.これにより,経験が少ない医師でも適切なデバイス選択が可能となる治療計画支援プログラムを作成する.遠隔医療プラットフォームは,すでに国内外1,000施設超に導入されているモバイルコミュニケーションアプリ「Join」3)を利用する.同アプリの遠隔医療システムを利用し,遠隔にいる指導上級医による現場の医師に対する手術指導が可能になり,医師の実質的労働負担を軽減し,医療経済的にも有効性の高い治療の提供が実現できる.