脳卒中の外科
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症  例
血管型Ehlers-Danlos症候群に合併した内頚動脈海綿静脈洞瘻に対してTVEを施行した1例
中江 竜太金子 純也金谷 貴大久保田 麻紗美喜多村 孝雄亦野 文宏村井 保夫横堀 將司
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2024 年 52 巻 5 号 p. 387-392

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抄録

血管型Ehlers-Danlos症候群(vEDS)は内頚動脈海綿静脈洞瘻(CCF)を合併する.今回われわれはvEDSに合併したCCFに対してTVEを施行した症例を経験したので報告する.症例は36歳の女性.vEDSにて当院かかりつけであった.右眼球突出,眼球結膜充血・浮腫,動眼神経麻痺,拍動性雑音が出現し,眼科から紹介となった.脳血管撮影を行い,右内頚動脈(ICA)撮影ではCCFを認め,右上眼静脈(SOV),顔面静脈(FV)へ逆流を認めた.下錐体静脈洞(IPS)は描出されなかった.左ICA撮影ではCCFは認めなかったが,両側IPSが描出された.以上から,右FV,SOVを経由したTVEを行う方針とした.手術は全身麻酔で行った.造影用に右上腕動脈から4 Fr診断カテーテルを挿入して右ICAに留置した.右大腿静脈から6 Fr Shuttle Sheath 80cmを挿入して右内頚静脈に留置し,同軸にGuidePost 120cm/SL-10 45°/CHIKAI 14200cmを挿入し,右FV,SOVを経由してSL-10を海綿静脈洞に誘導した.Target XL 360 Soft 3mm×6cmを挿入したところシャント血流は大幅に減少した.計13本のコイルを挿入しシャントの消失を確認した.術後も血管性合併症は認めず経過し,右眼球突出,眼球結膜充血・浮腫,外眼筋麻痺は速やかに消失した.

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