脳卒中の外科
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症  例
軽微な頭部外傷後に発症した中大脳動脈解離性動脈瘤に対して直達手術を行った1例
高島 知央河野 隆幸野中 崇久梶原 壮翔中村 普彦大倉 章生森岡 基浩
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2024 年 52 巻 5 号 p. 382-386

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抄録

81歳,男性.歩行中に転倒して頬部を打撲して当院へ救急搬送された.外傷性くも膜下出血の診断で保存的加療を行い自宅退院した.その後再出血を起こし,再入院で精査を行ったところ,左中大脳動脈に解離性動脈瘤を認めた.STA-MCA bypassおよびproximal ligationを行い,再破裂予防をすることができた.外傷性頭頚部血管障害は,外力により頭頚部の動静脈に損傷をきたし生じるものであり,脳卒中などの原因となることで予後を悪化させる.画像検査を繰り返し行い,早期発見・治療につなげることが重要である.外傷性動脈瘤の破裂例は死亡率も高く,早期の発見と外科治療が望ましい.今回,外傷性くも膜下出血をきたし,遅発性に画像異常を認めた中大脳動脈の解離性動脈瘤の1例を経験した.外傷性動脈瘤そのものも実臨床で経験する頻度としては高くない中で,中大脳動脈に解離性動脈瘤をきたす例は非常にまれであった.われわれが渉猟し得たかぎりでは他に同様の症例の報告はみられず,文献的考察を含めて報告する.

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© 2024 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
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