脳卒中の外科
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症  例
両側後下小脳動脈に発生した多発動脈瘤に対して片側バイパス術を併用し治療し得たくも膜下出血の1例
鍵渡 洋樹丸山 啓介岡田 啓佐々木 佑太畑中 良松本 淑恵中冨 浩文
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2025 年 53 巻 2 号 p. 114-118

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抄録

50代女性がくも膜下出血を発症し,両側多発後下小脳動脈(posterior inferior cerebellar artery:PICA)の動脈瘤(左に1個,右に2個)の診断となった.MRIによる血管壁イメージング(VWI)の造影効果に基づき,左側の解離が疑われる病変が破裂したものと診断した.OA-PICAバイパス術を両側に行うことを計画し,結果的には右側の遠位側の動脈瘤のみに行った.残る2個の動脈瘤はクリッピングし得た.皮弁の虚血を合併したため,植皮術を要した.多発脳動脈瘤においては,出血源の同定が困難な場合があり,造影MRIによるVWIが破裂部位の同定にときに有用である.破裂を伴う両側多発PICA動脈瘤には,綿密な手術計画に基づいてバイパス術を併用することにより直達治療が可能だが,皮弁の虚血に注意が必要である.

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