2025 年 53 巻 4 号 p. 211-217
われわれは,開頭clipping術の永続性などの利点を保ちつつ,かつ低侵襲手術を目指してsupraorbital keyholeを用いた未破裂脳動脈瘤のclipping術を2005年より17年間行ってきた.対象は,前方循環の比較的小型(平均6.0±1.8mm)の未破裂脳動脈瘤137例(前大脳動脈瘤74例,内頚動脈瘤63例)である.平均年齢は62.6±9.5歳であった.結果は,開頭部の最大径は平均28.5±3.2mm,動脈瘤の完全閉塞率は94.2%であった.平均在院日数は2.8±4.4日であった.術後合併症は空洞性脳梗塞を2例(1.5%)で認め,そのうち1例(0.7%)は症候性(mRS=3)であった.術後3カ月の障害(mRS>2またはMMSE<24)を1例(0.7%)で認めた.神経学的観察期間は平均6.9±4.0年であり,術前と比べmRSに有意の変化はなく,認知機能検査とうつ病検査では術後3カ月に有意の改善を認めた.放射線学的観察期間は平均7.6±4.2年であり,残存neckの増大を8例中1例(12.5%,1.4%/年)に認め,瘤再発を3例(2.1%,0.29%/年)に認めた.再治療を2例で行った(1.5%,0.20%/年).keyhole clippingによる前方循環の比較的小型の未破裂脳動脈瘤の治療は,通常開頭によるclipping術と同様な治療結果と永続性が得られる.術後在院日数は血管内治療と同様に少なく,かつ術後早期に心理学的改善効果が得られる低侵襲手術である.