2025 年 53 巻 4 号 p. 218-223
膠芽腫の初期治療5カ月後に,新生,破裂して脳内出血をきたした仮性脳動脈瘤に対して治療を行い,良好な経過を得た1例を経験した.症例は58歳,男性.注意障害と視野障害で発症した右側頭葉腫瘍に対して開頭腫瘍摘出術を施行した.病理診断は膠芽腫であった.放射線治療とテモゾロミドによる化学療法を追加し,術後4カ月時点でのmagnetic resonance imaging(MRI)では,腫瘍再発や脳動脈瘤は認めなかった.術後5カ月で,頭痛,嘔吐をきたし救急搬送され,computed tomography(CT)で腫瘍摘出腔に脳内出血を認め,CT angiographyで右中大脳動脈M2部に血腫に接した動脈瘤を認めた.再出血予防のために,バイパス併用動脈瘤トラッピング術を行った.浅側頭動脈を採取して再開頭し,動脈瘤遠位の中大脳動脈皮質枝に浅側頭動脈を吻合した.動脈瘤は,正常な血管構造をもたない仮性動脈瘤だったため,母血管をトラッピングして動脈瘤を切除した.膠芽腫初期治療後の動脈瘤の新生破裂はまれであり,その病理学的機序と外科的治療戦略について考察し,報告する.